1963年式トヨタ・パブリカで、思う存分サーキットを! TBCC参戦者に訊く、走れる旧車選び

公開 : 2022.10.11 20:45

「旧車でサーキット走行」を楽しむKさんは、1963年式パブリカのオーナー。補修用パーツが揃う車種だから、レースだって楽しめます。お話を伺ってきました。

ラリーも、サーキットもこなす頑張り物

袖ケ浦フォレストレースウェイで開催されている「東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ(TBCC)」は、年間4戦で実施されている敷居の低いサーキットイベント

アルファ・ロメオやMBをはじめとする輸入車で参加するエントラントが多いが、懐かしい国産旧車でレースを愉しむドライバーも少なくない。

Kさんの63年式トヨタ・パブリカ。「補修用のパーツがまだまだありますから」の言葉とおり、この日も切れのある走りを見せてくれた。
Kさんの63年式トヨタ・パブリカ。「補修用のパーツがまだまだありますから」の言葉とおり、この日も切れのある走りを見せてくれた。    高桑秀典

10年ぐらい前に購入した1963年式トヨタ・パブリカでTBCCに参戦しているKさん(73歳)もそのひとりだ。

「30年以上前に購入した1965年式のトヨタ・スポーツ800で、50歳のときからモータースポーツを堪能してきました。そのヨタハチはラリー仕様にモディファイしてあり、PC競技などがあるクラシックカーラリーではなく、未舗装路を走るほうのラリーを愉しんできました」

「昔の話になりますが、オーストラリア大陸最南端に位置するタスマニア島全域を舞台とするタスマニア・ラリーに10年間ぐらい参戦していたことがあります。そして、ヨタハチと同じエンジンを積んでいるパブリカを10年前に増車し、いまはラリー参戦とサーキット走行の両方を満喫しています」

そのように話してくれたKさんによると、奥さまをコ・ドライバーに抜擢して参戦しているラリーは、愛知県新城市で行われている全日本ラリー選手権の新城ラリーで、オープンクラスのクラシック部門で今回撮影させてもらったパブリカを走らせているのだという。

パブリカでエントリーしているサーキットレースはTBCCとJCCAとのことで、ラリーとレースの参戦率は半々なのだと話してくれた。

メンテの心配は? パブリカを選ぶメリット

「日本のモータースポーツ文化も少しずつヨーロッパやアメリカに近づいてきました」とも話してくれたKさんによると、10年前に購入したパブリカは前オーナーがモディファイした仕様のまま乗っているらしく、各部をリセットしただけで全日本ラリーのクラシック部門とサーキットレースの両方に参戦しているのだという。

「30年間眠っていたクルマを前オーナーから引き継いだので、さすがにエンジンのオーバーホール作業などが必要となりました。キャブレターはKEIHINのCRキャブレターにしています。パブリカはヨタハチと同じパワーユニットなので、補修用のパーツがまだまだあります。私もスペアの空冷水平対向2気筒エンジンを3~4基持っています」

30年間眠っていた個体を、前オーナーの仕様を活かしてお乗りになっている。エンジンは、パブリカ800用。
30年間眠っていた個体を、前オーナーの仕様を活かしてお乗りになっている。エンジンは、パブリカ800用。    高桑秀典

Kさんのパブリカは、ボディこそパブリカ700のものだが、同車のエンジンは貴重なのでパブリカ800用に変更しており、よりパワフルな走りを愉しめるようになっている。パワフルといっても最高出力が36psなので、その性能のすべてを使い切ることができるのであった。

インターネットでユーズドカーの価格を調べてみたら一番高価な個体でも200万円前後だったので、初めての旧車として往年のパブリカはオススメできるといっていい。

なんといっても機関系のパーツをなんとか揃えられる点が“嬉しいポイント”で、Kさんのようにガンガン走ってもメンテナンス時に困る機会が他車よりも少ないのであった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    高桑秀典

    Hidenori Takakuwa

    1971年生まれ。デジタルカメラの性能が著しく向上したことにより、自ら写真まで撮影するようになったが、本業はフリーランスのライター兼エディター。ミニチュアカーと旧車に深い愛情を注いでおり、1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを1998年から愛用中(ボディカラーは水色)。2児の父。往年の日産車も大好きなので、長男の名は「国光」
  • 編集

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