自然吸気5.5L V8を新開発 シボレー・コルベット Z06へ試乗 680psの豪快な加速力

公開 : 2022.10.19 08:25  更新 : 2022.10.19 13:47

硬すぎない乗り心地 クイックなステアリング

実際に運転してみると、コルベット Z06は確かに乗り心地が硬いものの、硬すぎない。試乗コースはミシガン州の一般道だったが、開発時にも走り込まれた区間だという。過去に、カモフラージュされたプロトタイプが目撃された場所でもある。

穏やかなツアー・モードなら、公道での利用にまったく不満は感じない。スポーツ・モードでも、我慢を強いられる乗り心地ではなかった。

シボレー・コルベット Z06(北米仕様)
シボレー・コルベット Z06(北米仕様)

ステアリングのレシオはクックで、タイトなカーブや交差点以外では、手首をひねれば済む。ステアリングホイールがほぼ四角といえるカタチで、リムの上下が滑りやすいカーボン製だから丁度いい。

操作に対する反応はダイレクト。サーキットで走らせることは叶わなかったが、高負荷時を想定されたステアリング・チューニングだと感じた。

公道では、太いタイヤの限界を超えることはほぼ不可能。試乗車はマイルドなパイロットスポーツ4Sを履いていたが、乾燥したアメリカのアスファルトでは甚大なグリップ力を発揮していた。

コルベット Z06の場合、車重の61%がリアアクスルに掛かっている。コーナリング中にアクセルペダルを緩めると、積極的にラインが内側へ絞られていく挙動から、それを実感する。

そもそも、一般道ではアンダーステアへ持ち込むこと自体が難しい。過敏だったり、気難しい様子もない。限界領域が非常に高く、あるポイントを過ぎると突然手に負えなくなるのでは、とも思った。

日常的な速度でも堪能できるV8サウンド

C8型コルベットの車内は、スポーツカーの基準としては広々。サーキット・フォーカスの特別仕様としては例外的に、Z06は音振面での妥協も小さい。

ドライブモードによって、アダプティブダンパーやエンジンのマッピング、エグゾーストノート、ステアリングフィールなどが変化するが、Z06ではブレーキペダルの感触も変えられる。ペダルの重さと踏み応えを、ドライバーが選べるのだ。

シボレー・コルベット Z06(北米仕様)
シボレー・コルベット Z06(北米仕様)

ここまで速いコルベットに、硬いブレーキペダルを求めるドライバーは少ないと思うけれど。最高速度は313km/hとなっている。

V8エンジンが放つサウンドは、日常的な速度域でも堪能できる。欧州の厳しい騒音規制はクリアできないだろう。最もうるさいモードでは、サイレンサーをバイパスしているように聞こえるほど。

コルベット Z06の北米価格は10万9295ドル(約1606万円)からと、能力を考えればバーゲンプライスといっていい。Z07パッケージなどを追加したコンバーチブルでも、15万ドル(約2205万円)は超えない。

北米なら、ベーシックなポルシェ911より若干高い程度で済む。同時に人気も高く、市場調整と呼ばれる大幅なプレミアムをディーラーが上乗せすることは確実だ。

最後に、英国人にとっては残念なことを1つ。シボレーは、欧州市場へコルベット Z06を導入する計画を立てていないのだ。

シボレー・コルベット Z06(北米仕様)のスペック

英国価格:10万9295ドル(約1606万円)
全長:4630mm(標準コルベット)
全幅:1933mm(標準コルベット)
全高:1235mm(標準コルベット)
最高速度:313km/h
0-100km/h加速:2.9秒
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1561kg
パワートレイン:V型8気筒5463cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:680ps/8400rpm
最大トルク:63.4kg-m/6300rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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