【詳細データテスト】BMW M4 速さと快適性を両立 軽量でも装備充実 シートは標準仕様がベスト

公開 : 2022.11.26 20:25  更新 : 2022.12.02 03:06

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

2004年以降、BMWがこの手のクルマについてどのようなことを学んできたのかは、新型CSLの装備を見ればうかがい知れる。純正ナビやオーディオ、エアコンが標準装備されているのだ。E46では、どれも排除されたアイテムだ。

M4コンペティションより100kg軽いCSLだが、それは2シーター化や、フロントシートをはじめとする軽量パーツの採用によるもので、2022年現在のオーナーが不在を望まないであろう装備をオミットして稼いだ数字ではない。

エアコンやオーディオ、ナビは標準装備ながら、M4コンペティションより100kg軽量化したCSL。スパルタンなサーキット専用車ではなく、高級パフォーマンスカーを目指したことがうかがえる。
エアコンやオーディオ、ナビは標準装備ながら、M4コンペティションより100kg軽量化したCSL。スパルタンなサーキット専用車ではなく、高級パフォーマンスカーを目指したことがうかがえる。    LUC LACEY

シャシーは、スティールとアルミの混成による4シリーズのそれがベースだが、エンジンルームやアンダーフロアなどには補強ブレースが追加され、剛性を高めている。

アグレッシブなルックスのボディワークは、カーボンFRPの使用比率をM4コンペティションより大幅に高めている。具体的には、ルーフパネルに加えボンネットとトランクリッドにも及んでいる。

しかしながら、M4の標準モデルに対して削減した遮音材だけで15kgという軽量化は、ボディパネルの高価な素材への変更で削った重量より多い。標準装備のカーボンセラミックブレーキは、鋳鉄ブレーキより14.3kg軽く、その他の軽量部材によってさらに4kgが落とされている。

BMW曰く、M4 CSLは実走可能な状態で1625kgとのこと。さすがに1300kgを切るアルピーヌロータス、また1450kgのポルシェGT系には及ばない。さらなるウェイトダウンは可能だったはずだ。しかしBMWはおそらく、ハイエンドのパフォーマンスカーにおける軽量化はどこまで許されるかという線引きを、これまでの経験から学んだのだろう。

エンジンはレギュラーのM3やM4と同じ、S58B30型3.0L直6ユニット。ターボのブースト圧はM4コンペティションより25%ほど高まり、パワーは40psアップの550psを発生。トルクは66.2kg-mのままだが、発生回転域は広がった。エンジンも、8速トルクコンバーターATも、強化マウントで支持される。

ホイールアーチの内側は、トレッドが拡幅され、設計変更されたフロントハブによりネガティブキャンバーが強まっている。リアのアクスルとサブフレームはリジッドマウント化され、サスペンションは前後とも新型のストラットと補助スプリングが用いられる。

タイヤは、超ハイグリップでサーキット志向のミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2Rを標準装着。ただし、より街乗り向きのパイロットスポーツ4Sも選択可能だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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