昨年の新車販売、1977年以来の低水準に 登録車はマツダ/スズキ/三菱だけ前年超え 業界の声は?

公開 : 2023.01.06 12:03

2022年の新車販売台数が判明。45年ぶりの低水準です。そんな中、前年比プラスを記録したブランドも。何がユーザーを引き付けたのでしょう。

420万台を販売 3年連続の500万台割れ

執筆:Naojiro Onuki(大貫直次郎)

2022年度(1月~12月)の新車販売台数の速報値が発表された。

前年比5.6%減の「420万1321台」と4年連続でのマイナスで、かつ3年連続での500万台割れ。

2022年通年の登録車販売は、2021年比で8.3%のマイナス。マツダ、スズキ、三菱自だけはプラスを記録した。
2022年通年の登録車販売は、2021年比で8.3%のマイナス。マツダスズキ三菱自だけはプラスを記録した。    AUTOCAR JAPAN

さらに、東日本大震災があった2011年度の421万219台を下回り、かつ約419万台だった1977年度に続く低水準を記録する。

このうち、登録車は同8.3%減(256万3184台)と5年連続のマイナス、軽自動車は同0.9%減(163万8137台)と4年連続のマイナスとなった(自販連/全軽自協調べ)。

登録車のブランド別新車販売台数で“前年実績超え”を成し遂げたのは、SUVモデルの販売が伸びたマツダ、マイルドハイブリッドモデルの販売が好調なスズキ、PHEVモデルを拡販した三菱自の3ブランドのみで、それ以外はすべてマイナスに落ち込んだ。

軽自動車のブランド別新車販売台数では、前年の累計台数を超えたのはダイハツ日産スバルのみで、それ以外のブランドはすべてマイナス。

ダイハツに関しては前年比1.2%増(53万8974台)を記録し、8年連続でのブランド別首位に輝いた。

12月の登録車 トヨタ/マツダ/ダイハツが減

また、2022年12月単月の新車販売台数も発表された。

登録車の新車販売台数は、前年同月比4.4%減の20万9090台と、4か月ぶりのマイナス。

ノア/ヴォクシー、ステップワゴンと人気ミニバンのフルモデルチェンジが続いた2022年。11月には満を持して、セレナも新型に。2023年の日産を牽引する存在になるか。
ノア/ヴォクシーステップワゴンと人気ミニバンのフルモデルチェンジが続いた2022年。11月には満を持して、セレナも新型に。2023年の日産を牽引する存在になるか。    日産

一方、軽自動車の新車販売台数は、同15.0%増の13万5275台と、4か月連続のプラスとなる。

結果として、トータルでの12月の国内新車販売台数は、同2.4%増の34万4365台と、4か月連続での前年実績超えを成し遂げた。

登録車の12月のブランド別新車販売台数では、部品の調達不足の影響が出たトヨタが前年同月比12.3%減(9万3874台)。

マツダが同21.4%減(9668台)、レクサスが同16.1%減(3074台)、ダイハツが同29.7%減(2609台)と苦戦。

一方、ホンダは同0.3%増(2万2108台)、日産は同10.0%増(2万167台)、スズキは同45.8%増(9333台)、スバルは同5.0%増(6836台)、三菱自は同26.5%増(3600台)と前年実績超えを達成した。

12月の軽 ダイハツが首位 業界の声は?

軽自動車の12月のブランド別新車販売台数は、全ブランドが前年実績超えを達成する。

シェアトップに立ったのは、前年同月比3.7%増(4万6527台)を成し遂げたダイハツで、4か月連続での首位を獲得。

2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー、K CAR オブ・ザ・イヤーを受賞した軽EV「日産サクラ」。
2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー、K CAR オブ・ザ・イヤーを受賞した軽EV「日産サクラ」。    宮澤佳久

最大のライバルのスズキは、同5.9%増(4万606台)を記録したものの、5921台の差で第2位に甘んじた。

また、ホンダは同11.8%増(2万4477台)、軽EVのサクラの受注を再開した日産は同134.6%増(1万4323台)、軽EVのeKクロスEVの増産を実施した三菱自は同97.8%増(3461台)とプラスを実現する。

一方、OEM供給を受けるブランドではマツダが同34.2%増(2515台)、トヨタが同2.6%増(2047台)、スバルが同55.5%増(1317台)と前年実績超えを果たした。

今後の展望 価格引き上げを懸念

12月の新車販売の動向について業界団体の関係者は、「前年12月の新車販売台数が33万6442台と低調だったこともあって、本年12月はプラスを成し遂げた。ただし、新型コロナウイルス感染拡大当初の2020年12月の37万9896台にはまだ及んでいない。部品の供給不足による生産調整の期間は縮小したものの、新型車や人気車の受注残を解消し切れない状況が続いている」と示唆する。

一方、2022年度に関しては「新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な半導体不足で生産調整が長引き、合わせて新型車および人気車の一時受注停止や新車発売のスケジュールの遅延も重なって、2022年度は450万台割れという低落傾向を示した」と解説した。

今後については、「需要は新型車を中心に堅調で、今春以降も多くの受注を獲得しそうな新型車や特別仕様車が各ブランドから発売される予定。さらに、前年同期の販売台数が低迷していたため、来月以降も前年実績を超える可能性が高い」

「生産調整は今後も一部で発生する見込みだが、中国の実質的なゼロコロナ政策の転換などによって、海外を含めたサプライチェーンは改善しつつある。一方で懸念材料としては、依然として続く半導体不足やウクライナ情勢に伴う原材料の供給不足および価格高騰などが挙げられる。受注残の早期解消のための増産体制の構築は、まだ先になりそう。車両価格の相次ぐ引き上げも、消費者心理としてはマイナス要素」と指摘した。

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    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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