シトロエン・アミ 詳細データテスト 思ったより楽しいハンドリング 想定より短い航続距離 うるさい

公開 : 2023.01.21 20:25  更新 : 2023.02.13 07:12

結論 ★★★★★☆☆☆☆☆

このアミには、葛藤を覚えずにいられない。これは価格と限定的な使用目的に沿って、合理的に企画されたクルマだ。またわれわれとしては、狙いが単純明快で、それをみごとにこなしてくれる、軽くてシンプルなクルマは往々にして好物だ。環境が申し分なく揃っていれば、アミもそういうところを見せてくれる。

しかしそうは言っても、市街地の速度域がもっとも低いエリア以外で走らせるのは、苦痛を伴う。ラゲッジスペースはほとんどなく、悪天候時などには視界が大きく損なわれる。また、渋滞の中でなければ、身の危険を感じてしまう。しかも、トップスピード付近である程度走り続けると、航続距離は大幅に目減りしてしまう。

結論:よく考えられたクルマだ。しかし、その性能を考えると、人様におすすめするのは難しい。
結論:よく考えられたクルマだ。しかし、その性能を考えると、人様におすすめするのは難しい。    MAX EDLESTON

新車と中古車を比較するのは、昔は良かったとなりがちでフェアではないので気が進まない。しかし、アミに関しては比較対象があまりにも少なく、用途がきわめて限られているので、これより古いクルマにも目を向けざるを得ない。そして、そちらのほうがはるかに快適でなじみやすいものであっても、それを否定できない。

もし、市街地での低速走行のみと厳密に限定するなら、スクーターから乗り換えるといい。ビジネスユースなら、自社のブランディングに役立つくらい人目を引くはずだ。しかし、もっと広範囲で使いたいなら、とてもおすすめできるようなものではない。

担当テスターのアドバイス

マット・プライヤー

1本ワイパーは、右側に大きな拭き残しが出てしまう。荒天時には、ラウンドアバウトへアプローチする際の視認性がかなり悪くなる。

マット・ソーンダース

充電ケーブルを折りたたんで、小さな収納スペースにしまい込む作業は、驚くくらいやりにくい。

オプション追加のアドバイス

選択肢は多くない。まずはアクセントカラー。もしも宅配業務に使うなら、カーゴ仕様や、足元に設置するボックスがある。

改善してほしいポイント

・ワイパーの拭き取り範囲を拡大してもらいたい。
・ファンはもっと静かにならないだろうか。
・航続距離をなんとか伸ばしてほしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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