「低車外音タイヤ」って何? 新たな制度が始動 クルマが発する騒音、静かにする取り組み

公開 : 2023.01.23 20:15

2023年、新たなタイヤ・ラベリング制度が始動。「低車外音タイヤ」といって、通過時の騒音が静かなタイヤであることをユーザーに示します。

低燃費タイヤに続く、新ラベリング制度

日本自動車タイヤ協会(JATMA)が、新たな業界自主基準を、2023年1月から開始している。

「低車外音タイヤ」というラベリング制度で、走行中のタイヤが発する車外音が、一定の値以下であるという表示基準を定めるものだ。

街を走っていても、ハイブリッド車、EVなどの電動モデルと、内燃エンジン車が混走するようになった。クルマが発する騒音への取組みも、新たな段階に差し掛かっているようだ。
街を走っていても、ハイブリッド車、EVなどの電動モデルと、内燃エンジン車が混走するようになった。クルマが発する騒音への取組みも、新たな段階に差し掛かっているようだ。    宮澤佳久

クルマの交通騒音は社会的な課題として残っており、エンジン音などの低減が進んだ結果、走行中の騒音に占める“タイヤの寄与率”が相対的に高くなっていると、JATMAは説明している。

じつは、新車に装着されるタイヤについては、タイヤ騒音の対策として、国連欧州経済委員会が定めるタイヤの技術基準となる協定規則 第117号(UN R117.02)の騒音基準値への適合が、日本では2018年から2026年にかけて段階的に義務付けられている。

一方「交換用タイヤ」、つまり市販用タイヤへの騒音規制導入の法制化スケジュールは具体化されていないのが現状だ。

業界の自主的な取組みとしての「低車外音タイヤの表示制度」を実施することで、交換用タイヤに対しても低車外音タイヤの普及を進め、これによって交通騒音の低減に貢献しようという考えである。

対象となるのは、一部の特別な用途のものを除き、市販用ならば夏タイヤ、冬タイヤ、オールシーズンタイヤを問わない。乗用車用に限らず、小型トラック、トラック・バス用も対象となる。

また、この制度は業界の自主的な取組みなので、低車外音タイヤをユーザーが選ぶか選ばないかは自由。車検の合否にも影響しない。

等級分けしないワケ 試験方法について

興味深いのは、低燃費タイヤのラベリング制度のようなグレーディング(等級分け)をしないこと。

その理由についてJATMAは、現状ではタイヤ騒音に対するユーザーの関心がそれほど高くないとし、それよりも騒音基準値への「適合」という見せ方の方がシンプルで分かりやすいと現実的な運用にした。

ダンロップの新コンフォートタイヤ「ル・マンV+」は、ル・マン ファイブの進化版として2月から発売。低車外音タイヤに適合する。全67サイズ(165/55R14~245/40R20)。
ダンロップの新コンフォートタイヤ「ル・マンV+」は、ル・マン ファイブの進化版として2月から発売。低車外音タイヤに適合する。全67サイズ(165/55R14~245/40R20)。    住友ゴム

具体的な試験方法は、騒音測定するタイヤをテスト車両の左右・前後輪に装着し、惰行走行する形で行う。惰行とは、エンジンを切った状態で走らせること。

テスト車両の速度は、乗用車用タイヤおよび小型商用車用タイヤが70~90km/h、中・大型商用車用タイヤは60~80km/hの範囲内。クルマから発する騒音をマイクロホンで測定するという流れだ。

つまり、通過時の音が静かなタイヤであることを判断する試験であって、車内に届く騒音は測定対象とならない。あくまで道路の沿線への騒音を抑制するための取組みなのだ。

そして乗用車用の場合、タイヤの「断面幅」を4種類に分類し、それぞれに「基準値(dB)」が設けられている。その値を超えないものが低車外音タイヤとして認められる形になる。

また基準値を満たしたタイヤは、カタログなどの販促物で「低車外音タイヤ」という呼称を用いることができ、それを表すアイコン(人差し指を口の前に立てて「シー」という仕草をするイラスト)を使えるようになるという。

断面幅と基準値(乗用車用タイヤの場合)

185以下:70dB
185超245以下:71dB
245超275以下:72dB
275超:74dB

タイヤ各社では、すでにブリヂストンが同社ウェブサイトに、夏タイヤ、冬タイヤの低車外音タイヤ対象ブランドを一覧化。

JATMAのウェブサイトでも各社の対象タイヤのサイズリストが掲載されており、誰でも確認できる。

また新製品では、住友ゴムが年初に発表した新コンフォートタイヤ「ダンロップ・ル・マンV+」が、低車外音タイヤに適合している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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