アウディeトロン×スタッドレスタイヤ 高レベルの実力、スポイルされないのか 試乗

公開 : 2023.01.30 17:45

「旗艦」名乗るに相応しい

まず関心したのはWINTER MAXX SJ8の、剛性バランスの良さだ。

試乗車はまさに下ろしたての新品タイヤを履いており、その溝も深くブロックがそそり立っていた。

WINTER MAXX SJ8は、クルージング時におけるトレッド面のムービングもなく、意地悪くアクセルを強めに踏み込んでも、トルクステアが起こらない。
WINTER MAXX SJ8は、クルージング時におけるトレッド面のムービングもなく、意地悪くアクセルを強めに踏み込んでも、トルクステアが起こらない。

そんな状態でもWINTER MAXX SJ8は、とても快適だった。さすがは専用タイヤというべきなのだろう、街中ではエアサスとの相性もよく、スタッドレス特有のゴムの重さ、段差を超えたときなどに起きるバネ下のバタつき感がみごとに抑えられていた。

高速巡航ではこうした乗り心地を維持しながらも、直進性がきちんと保たれていたのが好印象だった。

レーンチェンジでの応答性は穏やかかつしっとりしており、速度域が低い日本では、むしろこちらが好みだというユーザーもいるかもしれない。

クルージング時におけるトレッド面のムービングもなく、意地悪くアクセルを強めに踏み込んでも、トルクステアが起こらない。

ロードノイズが抑えられているのはタイヤだけでなく、eトロンの遮音性によるものだろう。

もちろん高負荷領域においては、eトロン側でも4輪制御を巧みに利かせているはず。アクセルを踏みつけたところでスタッドレスタイヤのグリップ力を超えない範囲でトラクションを管理しているはずだが、なおかつWINTER MAXX SJ8が専用タイヤとして、そのマッチングをさらに深めているというのは体感できた。

確かにその価格は1320万円と高めだが、ガソリンモデルのQ8(340ps/51.0kg-m)よりも高出力なSUVを、ピュアEVで味わえるとなればその先取り感には納得が行く。

2023年モデルが「Q8 eトロン」に改名されることを考えてもこの55 eトロン・スポーツバックは、現アウディのフラグシップモデルを名乗るに相応しいSUVであった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山田弘樹

    Koki Yamada

    1971年生まれ。自動車雑誌編集部に在籍し、その後フリーランスに。編集部員時代にレースをはじめ、その経験をちょこっと活かして執筆活動中。でも、スピードの出るクルマは実は苦手です。2017年暮れに意を決して、憧れ続けた空冷ポルシェ911(993)を購入。消耗品の高さに都度涙を流しながらも、基本的には幸せ満喫中。最初はおっかなビックリだったけど、過走行でもポルシェは頑丈でした。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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