価値あるブランドを体現 シトロエンE-C4 Xへ試乗 航続距離355km バランスの取れた走り

公開 : 2023.04.25 08:25

シトロエンのBEV、E-C4にサルーンボディの「X」が登場。お手頃といえる価格以上の内容だと、英国編集部は評価します。

お値打ち価格のBEV 航続距離は355km

シトロエンから新しいバッテリーEV(BEV)が登場した。まずはお決まりの数字から。E-C4 Xが積む駆動用バッテリーの容量は46kWhで、1度の充電で走れる航続距離は最長355kmがうたわれる。

急速充電能力は、DCで最大100kW。30分で0%から80%まで回復できる。2023年では、特に驚くような数字ではないだろう。

シトロエンE-C4 X シャイン(英国仕様)
シトロエンE-C4 X シャイン(英国仕様)

ただし、シトロエンはこの辺りを割り切っている。市民の味方な自動車メーカーとして、容量の大きいバッテリーや、高度な充電技術からは一歩引いている。車重と価格を抑えるために。

シトロエンは過剰さを求めない。平均より上、といった辺りを狙っているのかもしれない。その実、E-C4 Xの英国価格は3万1995ポンド(約515万円)から。スリムでスタイリッシュなボディのBEVは、現代基準ではお値打ちだといっていい。

今回試乗したのは、中級グレードのシャイン。英国価格は3万4495ポンド(約555万円)へ上昇するが、適度に上質さを高めつつも、ブランドらしいベーシックな魅力が残され好ましい。

トリムグレードを問わず、E-C4 Xはクロスオーバーのように車高が高め。特徴的なプロポーションが合理的なパッケージングを包んだ、ゆったりとした4ドアのファミリー・サルーンだ。

ホイールベースは、既存のE-C4と同値。伸ばされた全長のすべてがリアのオーバーハングへ与えられているが、横から見て不格好ということはない。

上質感が漂うインテリア 大きい荷室

E-C4 Xのインテリアを観察すると、ライバルほどではないものの、各所に小物入れが設けられ使い勝手は良さそう。助手席側には引き出しスタイルの収納もあり、ノートパソコンをしまうのに便利。中級以上のグレードには、タブレット・ホルダーも用意される。

エアコンには実際に押せるハードスイッチが残されており、操作性は良好。内装素材の品質は、ファミリーカーとしては高い水準にある。硬質なプラスティック製部品は、探せば見つかるという程度。価格以上の上質感が漂う。

シトロエンE-C4 X シャイン(英国仕様)
シトロエンE-C4 X シャイン(英国仕様)

ダッシュボードの中央上部には、10.0インチのタッチモニターが突き出ている。運転席の正面にもクリアパネルが突き出ており、走行速度や標識などが投影される。

シートはとても快適。適度にクッションが柔らかく、身体をそっと支えてくれる。人間工学的な仕上がりも悪くない。しなやかな乗り心地ともマッチしていると思う。

荷室容量は510Lあり、このクラスとしては大きく、E-C4と比べて130Lも拡大されている。ステーションワゴンのようにリアガラスから開く大きなテールゲートは備わらず、トランク部分のみが開閉するため、実用性でいえばプジョー408には届いていないが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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