驚きと喜びをもたらす490ps ジェネシスGV60 スポーツプラスへ試乗 韓国最速EV 前編

公開 : 2023.05.08 08:25

ヒョンデの上級ブランド、ジェネシスによる電動クロスオーバーのGV60。ご当地のワインディングで、実力を評価しました。

驚きと喜びをもたらす電動SUV

韓国最速のバッテリーEV(BEV)を、韓国最難関といえるワインディングで試した。賑やかなソウルを抜け出し、ヒョンデキア、大型トラックが先を急ぐ60号線を東に走り、辿り着いた早春の丘陵地帯で。

運転し終えた今では、ジェネシスGV60 スポーツプラスの好ましいところが蘇ってくる。幸い、天気も悪くなかった。

ジェネシスGV60 スポーツプラス(韓国仕様)
ジェネシスGV60 スポーツプラス(韓国仕様)

2022年の優れたモデルを振り返ると、フェラーリ296 GTBマセラティMC20など、いくつかのスーパーカーの名前が浮かんでくる。そしてこの電動クロスオーバー、GV60も含まれている。

ヒョンデの上級ブランド、ジェネシスは、欧州ではまだ馴染みが薄い。BEVの動的能力を新基準へ引き上げたい、という目標を掲げている。それでも、既にGV60が優れていることに疑いの余地はないだろう。

2022年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したキアEV6や、日本でも販売されているヒョンデ・アイオニック5とプラットフォームなどを共有している。いずれも、現在購入できるBEVでは特に高い完成度にある。

ジェネシスの開発者はその技術を活かしつつ、プレミアムなモデルとするべく、全面的な努力を投じた。デザインしかり、シャシー性能もしかり。その成果として、驚きと喜びをもたらす電動SUVが完成した。

上級ブランドがひしめく欧州にあっても、ブランド創設から6年しか経っていないという事実をGV60は感じさせない。英国に至っては、上陸から1年が過ぎたばかりだ。

評価すべきインテリアと動的能力

筆者がGV60で特に評価している点は、2つある。1つ目は、インテリアの質感。

素材には高級感が漂い、過度な華やかさは抑えられ、製造品質は見事。ダッシュボードのデザインも、従来的な操作系の煩雑さが排除されつつ、実際に押せるハードボタンが必要な場所へレイアウトされている。

ジェネシスGV60 スポーツプラス(韓国仕様)
ジェネシスGV60 スポーツプラス(韓国仕様)

システムをオンにすると、センターコンソールの中央に埋め込まれた球体が回転。ロータリーコントローラーが姿を表す。とても知的でありながら、気持ちをアゲてくれる。

アウディBMW、あるいはメルセデス・ベンツのインテリアで、思わず笑顔になった体験はあるだろうか。もちろん、それらのモデルも居心地に優れ笑顔になれる。だが、システムをオンにする度に、気持ちがくすぐられることはないと思う。

もちろん、GV60も居心地は素晴らしい。より長い時間を過ごしたいと思えるほど。

2つ目は動的な能力。内燃エンジンを搭載する、軽量なホットハッチの雄には敵わない。それでも運転する楽しさでは、現在のBEVではトップクラスにあると考えている。

単に発進加速が鋭いだけではない。コーナーでも爽快さが味わえる。ジェネシスもそれを自負しているのか、ドライブモードにはドリフト・モードが備わっている。

GV60の開発を率いた技術者が、タイロン・ジョンソン氏。フォードの傑作ホットハッチ、フォーカス RSの開発へも過去に携わった人物だ。ワインディングとの相性が、悪いわけがないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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