捕まる前に 電動キックボード、免許不要もナンバー/保険は「義務」 違法車体は排除方針

公開 : 2023.07.10 17:23

2023年7月1日、電動キックボードに関して、改正道交法(令和4年法律第32号)による新しいルールが適用されました。改めて現状の問題と、新ルールの内容をまとめました。

免許アリでも順法意識が低い人の乗り物

「公道を走る電動キックボードは原付扱い」とされてきた電動キックボード。

運転には定格出力に応じた原付免許(原付1種/2種)、ヘルメット、自賠責保険、ナンバープレートなどが必須で、車体は原付としての保安基準を満たしている必要があった。

電動キックボード。
電動キックボード。    シャッターストック

一部の例外としてLUUPに代表される認可シェア事業者が実証実験として扱う電動キックボードに関しては最高時速15km/hの「小型特殊車両」に区分することでヘルメット不要とし、小特または普通免許を必須としていた。(6月30日でシェア事業者の実証実験はすべて終了)

電動キックボードの利用実態は酷いもので、免許を持っていてアプリ上の「道交法テスト」も受けて合格しているはずのLUUP利用者でもたくさんの法令違反が報告されてきた。

筆者も幾度となく目撃しているが、車道の逆走や歩道の走行はもちろん、横断歩道を乗ったまま走るのは日常茶飯事だった。

夜の繁華街では10台中3〜4台が飲酒運転をしていることもテレビのニュース番組で明らかにされた。

昨年9月には酩酊状態のLUUP利用者がクルマ止めにぶつかって転倒し、頭を強く打ち死亡するという悲惨な事故も発生している。

都心ではナンバー無しの「野良」ボードがほとんどで、ナンバーがついてヘルメットを着用して走行している電動キックボードに出会う確率はとても低かった。

中には「歩道は公道じゃないから乗っていいと思った」と、公道の意味を知らない利用者がナンバーもヘルメットもない状態で電動キックボードに乗り、事故を起こして逃走するケースも少なからずあった。

改めて書いておくが歩道も公道である。

ナンバー無しの電動キックボードが走れるのは工場の敷地内やゴルフ場などの限られた私有地の中だけ。公園に関しては自転車の乗り入れを禁止しているところならナンバーの有無に関わらず電動キックボードも通行不可である。

電動キックボードはごく一部を除いて順法意識の低い人たちが好き勝手に乗り回す乗り物であったのだ。

7/1スタート 電動キックボード新ルール

このような中、令和5年7月1日から改正道交法(令和4年法律第32号)による新しいルールが適用された。

原付に該当する電動キックボードの中で「特定小型原動機付自転車」(以下、特定原付)として保安基準を満たした車両であればヘルメットは努力義務/免許不要で乗ることができる制度である。

令和5年7月1日から改正道交法(令和4年法律第32号)による新しいルールが適用された。
令和5年7月1日から改正道交法(令和4年法律第32号)による新しいルールが適用された。

基本は車道を最高速度20km/h以下で走ることになるが、そのうち最高速度6km/h以下に設定できる場合は歩道(自転車通行可の歩道のみ)走行も許可される。

1 車体サイズ
幅60cm×高さ190cm以内(一般原付は130×250cm以内)

2 ナンバープレートと自賠責保険は義務

3 特定原付の中で、6km/h以下の速度抑制装置が取り付けられている車体は自転車通行可の歩道も乗ることができる。

「6km/h以下」「20km/h以下」の制限は運転者自身がそれらの速度を超えないよう気を付けて走るということではなく、車体側でそれ以上のスピードが出ないよう「速度抑制装置」によって制御される。

速度を切り替える際には、必ず停車してから行うことがマスト。走行中に切り替えることはできない仕様となっている。

なお、今、どのような走行モードで走っているのか?ということは保安部品の一つである「最高速度表示灯」にて周囲からも確認できるようになっている。

歩道走行可能な6km/h以下であれば緑色のランプが「点滅」し、車道走行状態の20km/h以下であれば緑色のランプが「点灯」する。

この緑ランプ(最高速度表示灯)こそが、特定原付ならではの装備で緑ランプ=保安基準を満たした電動キックボードであることの証明といってもいいだろう。

緑ランプの保安基準は
・昼間にその前方及び後方25mの距離から点灯を確認できる
・光源は15W以上で照明部の大きさが7平方センチ以上
とされている。

先日発表会がおこなわれた「YADEA KS6PRO」(長谷川工業)はハンドルバーの両端に緑ランプが設置されており前後はもちろん、左右から見えやすい位置にある。

歩行者の目線にも近く、クルマや自転車など他の交通からの視認性も良好だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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