スズキ・ハスラー

公開 : 2014.01.26 18:30  更新 : 2017.05.29 18:41

これは企画力の勝利だろう。私の周辺でも、このクルマに萌える好事家が多い。ハスラーそのものはワゴンRをベースにしたクロカン風のクロスオーバー。全高はワゴンRより25mm高いが、地上高もワゴンR比で30mmのカサ上げだから、車体レイアウトやパッケージ設計はワゴンRと変わりない。2トーンカラーに樹脂フロア荷室など、あちこちに“どっかで見た……”モチーフやアイデアにあふれるが、意外にも軽自動車でこういう商品は今までなかった。スズキらしい目のつけどころである。

ハスラーはしかし、ただのナンチャッテ……と切って捨てるほどジョークめいた商品ではない。足もとは全グレードで専用サイズ大径タイヤ。主力グレードの4WDにはヒルディセントコントロール(下り坂自動ブレーキ)やグリップコントロール(ESPより積極的なブレーキLSD)など、ジムニーにもない新制御を追加。高重心化に対応して、サスペンションも全車にフロント・スタビライザーを標準化。走破性向上のほとんどはカサ上げ地上高によるが、「ちょっと不整路でもいってみようか」と思わせるものはある。

パワートレインはワゴンRとCVTのギヤレシオまで含めて同じ(MTのFF車のみファイナルが低いが)で、車重もほとんど増加なし。動力性能はNAでも十二分に活発だ。フットワークも無難にまとまっており、わざわざ特筆すべきネガはない。地上高カサ上げで増加したストロークを活用して、上下動を残しつつギャップを吸収するチューンはほどよいサジ加減。まあ、意地悪に観察すると、ステアリング中立付近にわずかな不感帯というか引っかかるような感触があり、操舵からワンテンポ遅れてノーズが過敏反応する。これはワゴンRにもあるクセなのだが、速まったロールスピードの相乗効果で、それがワゴンRより目立つ。さらなる熟成の余地があるとすれば、そこだろう。

4WDのリヤサスはバネ下にデフがぶら下がるリジッド形式なので、細かい不整ではゴトつきがち。FFのほうが総じて軽快で、乗り心地も好印象だが、イザというときの走破性のみならず、見た目には床下に無骨なデフが覗いたほうがSUVらしくカッコいいので悩ましい。ハスラーは純粋な機能より、そういうところに意識がいく。これも企画力の勝利だろう。

(文・佐野弘宗 写真・花村英典)

スズキ・ハスラー X 2トーンルーフ仕様車

価格 141.12万円
公称燃費(JC08モード) 29.2km/ℓ
CO2排出量 79.5g/km
車両重量 800kg
エンジン形式 直3DOHC, 658cc
エンジン配置 フロント横置き
駆動方式 前輪駆動
最高出力 52ps/6000rpm
最大最大トルク 6.4kg-m/4000rpm
馬力荷重比 65.0ps/t
比出力 78.8/ℓ
圧縮比 11.0
変速機 CVT
全長 3395mm
全幅 1475mm
全高 1665mm
ホイールベース 2425mm
燃料タンク容量 27ℓ
荷室容量 na
サスペンション (前)マクファーソン・ストラット
(後)トーションビーム
ブレーキ (前)ディスク
(後)ドラム
タイヤ 165/60R15

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