アバルト500e 詳細データテスト ほどよい速さと優れた経済性 足回りは硬すぎる 価格は高すぎる

公開 : 2023.08.19 20:25  更新 : 2023.10.24 18:39

アバルト初のEVは、期待どおりのファン・トゥ・ドライブと、期待以上の経済性を実現。日常使いには硬すぎる乗り心地は、ダンパーの質が高いので、多少の手直しで済むでしょう。また、装備を見直し価格を下げたいところです。

はじめに

時流がホットハッチにとどめを刺してきた例は多いように思える。自動車メーカーは、より大きな利益を得るために、大きくて背の高いクルマに力を注いでいる。もはや、みごとな専用サスペンションを備えた手頃なコンパクトカーの登場など、望むだけ無駄なのかもしれない。

いっぽう、自動車会社に課される総CO2排出量規制により、電動化されていないハイパフォーマンスエンジンを積んだMTも、メーカーを苦境へ追い込む存在となった。それゆえ、ルノープジョーのホットモデルは姿を消し、ゴルフGTIはATのみになろうとしている。シビック・タイプRも、英国では販売を終了した。

テスト車:アバルト500eツーリズモ
テスト車:アバルト500eツーリズモ    SIMON THOMPSON

しかし、かすかな希望の光はある。それが電動ホットハッチだ。

EVであれば、エミッションは問題にならない。パワーアップも、制御を変えるか、より高性能なモーターを積むかすれば済むので簡単だ。重量には懸念があるものの、それを支える上質なサスペンションを備えるモデルが増えてきているのはいい兆しだ。

そんな希望の最先端にあるのが、おそらくアバルト500eだ。ベースとなったフィアット500のEVは、すでに驚くほどおもしろいクルマで、そのホット版ということになるが、今のところ直接的な競合モデルはミニ・エレクトリックくらい。ひとクラス上にはクプラボーンやMG4 Xパワーがある。

来年には、もっとガチンコのライバルが登場する。それがミニ・クーパーEと、ルノー5がベースのアルピーヌA290だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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