トヨタ・アクアG“G’s”&アクアL

公開 : 2014.01.26 19:56  更新 : 2021.01.28 16:56

2012年の販売開始から売れまくっているトヨタアクアに小変更が加えられた。具体的には、エンジン制御やハイブリッドシステムの高効率化によって従来は35.4km/ℓだったJC08モードの燃費が37.0km/ℓまで引き上げられた。なぜ今こんな重箱の隅をつつくようなことをトヨタがするのかといえば、アクアのライバルであるホンダフィット・ハイブリッドが昨年後半に新型に生まれ変わり、36.4km/ℓという数値でアクアから普通乗用車の燃費世界1位の座を奪ったからである。再びトップに立ったアクアだが、当然短時間の試乗では1.6km/ℓ良くなった燃費を感じ取ることは……難しい。

燃費以外の部分では、足まわりや遮音関係が若干見直されたようで、より“アクア度”が高まった、ということになるのだと思う。タウンスピード程度で最新のアクアを試してみた印象では、直線路を走っていても4つのタイヤの接地が高まったように感じられ、ライバルのフィット・ハイブリッドよりも見た目、走りともに落ち着きが感じられた。

今回のアクア試乗会において標準モデルよりもある意味衝撃的だったのは、2013年末に追加されたGベースの“G’s”と呼ばれるモデルだった。真正面からだと、一見アクアとは分からないくらいデコレーションされたスタイリングは好き嫌いがはっきりと分かれるところだと思うが、このメーカー純正ドレスアップカーのキモは内外装に点在する専用のコスメティックな装備ではなくて、走り自体にある。外観から伺える“走り”に効きそうな部分は17インチ径のいかにも軽そうなG’s専用アルミホイールとブリヂストン・ポテンザRE050Aタイヤのみだが、ホイールハウスの内部には車高が25mmダウンされる専用チューニングのダンパー&スプリングがしっかりと仕込まれているのである。

一般的なスポーティグレードが備える走りの装備はそれくらいのものだが、G’sはなんとボディ補強までメニューに含まれている。具体的にはフロントタイヤの真後ろぐらいの車体裏に棒状のブレースが入れられている他、車体中心付近のマフラートンネルを結び付け、さらにリヤの足まわりの付け根まで到達しているU字型の補強部材と、車体後端にもレインフォースが入れられている。さらにホワイトボディの段階でサイドシルとドア開口部にもスポット増しが行われており、引き締められた足まわりをしっかり受け止めるボディが完成しているのである。1分1秒を争うトヨタ方式の工場ラインの中で、よくスポット増しなんていうレーシングガレージ的なチューニングができたものだと感心させられる。

アクアG“G’s”のコクピットは黒基調のシックな雰囲気で、外観と同じく“専用”のギミックで固められている。専用のスポーティシート(同日に試乗した新型ハリアーのそれとソックリだった)はパンチング加工されたアルカンターラをセンター部分に張り込んだ上質なもので、ダッシュパネルもアクアのシリーズ中唯一、ステッチが入ったレザー素材を張り込むなど、シックにまとめられている……と言いたいところだが、シフトノブがいただけない。標準のアクアではブルークリアーのパーツがはまっている部分に、“G’s”は赤いクリアーのそれをはめ込んでいるのだが、これがとってもチープで良くない。画竜点睛を欠く、というか達磨の目玉を描き込む際に色を間違えてしまった、みたいな感じだろうか。ともあれ、シックなインテリアが台無しである。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記