ランボルギーニ初のEV 浮き彫りにした日系メーカーの「弱点」

公開 : 2023.08.23 11:50

ランボルギーニ初のEVランザドールは、EVのブランド戦略の難しさを浮き彫りに。日系メーカーの弱点でもあります。

ランボルギーニ史上初のBEV

毎年恒例、アメリカ北カリフォルニア州モントレー市で開催される「モントレー・カー・ウィーク」

今年の目玉はズバリ、ランボルギーニ「ランザドール」である。

ランボルギーニ史上初のBEV「ランザドール」のスケッチ。
ランボルギーニ史上初のBEV「ランザドール」のスケッチ。    ランボルギーニ

ランボルギーニ史上初のBEV(電気自動車)であることは言うまでもないが、ランザドールは超高級車市場のみならず、グローバルBEV市場全体に与える影響が極めて大きい。

「ランボルギーニの歴史を変える」というより、「BEVの歴史を変える」という表現が、ランザドールにマッチするのではないだろうか。

ランザドールがこのタイミングでワールドプレミアされることに対して、自動車メーカー各社は十分に承知していたと言えよう。

なぜならば、ランボルギーニが掲げる次世代事業戦略「コル・タウリ」の中で、2028年のBEV量産を明記しており、コンセプトモデルとしては早々に登場することが予測されていたからだ。

そうなると、今から量産まで5年近くも間があくことになるが、電動パワートレインなどBEVのベースとなる技術はフォルクスワーゲングループの中で今後、成熟されていくことが確実だ。

デザインについては、そもそもランボルギーニデザインが大胆さを主張することから、
今回のコンセプトモデルの段階で十分、量産型をイメージでき得るものになることが予想されていた。

ランボルギーニBEVに対する疑念

筆者自身も、これまでのランボルギーニに対する各種取材を通じて、ランザドールという名称が知らなかったにせよ、ランボルギーニ初のBEVの青写真は十分に理解していたつもりだ。

例えば、2022年11月に「ウルス・peルフォルマンテ」日本初公開の際、ランボルギーニ本社のステファン・ヴィンケルマンCEOにBEVについて聞いている。

その際、あえて「ランボルギーニBEVとポルシェタイカン、またアウディeトロンGTとの共通性」について触れた。

3モデルは兄弟車になる可能性が高く、どこまで「ランボルギーニらしさ」を出せるのかという観点で質問した。

これに対して、ヴィンケルマンCEOは「グループとしてのメリットを十分に使う」とした上で、同じくフォルクスワーゲン・グループとしての効果が高いウルスの成功を引き合いに出した。

要するに、VWグループ内での構成部品の共通化がさらに進む中で、ランボルギーニユーザーに対して「ランボルギーニらしさ」をどのように創造するべきかを、ランボルギーニ側が十分理解していると断言したのだ。

そうは言っても、ヴィンケルマンCEOと直接会話しながら、筆者は心の中で「本当にランボルギーニらしいBEVとして、やりきれるのか?」という疑念があった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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