闇だらけのブリティッシュ・レイランドが生んだ名車 14選 英国の「黒歴史」における数少ない宝石

公開 : 2023.09.03 18:05

1970年代の「残念」な英国を象徴する巨大自動車会社ブリティッシュ・レイランド。ダメダメな印象が強い同社、しかし数多くの名車を生み出したのもまた事実。伝説的なクルマを紹介します。

黒歴史に燦然と輝く名車たち

ブリティッシュ・レイランド。それは、落ちぶれた英国の象徴を探す人々にとって、頼りになるジョークの宝庫である。また、1968年5月13日に設立されて以来、短期間ではあるが、米国外でフォルクスワーゲンに次いで2番目に大きな自動車会社でもあった。

ブリティッシュ・レイランド(British Leyland Mortor Company、略してBLとも呼ばれる)は、レイランド・モーター・コーポレーション(Leyland Motor Corporation)とブリティッシュ・モーター・ホールディングス(British Motor Holdings)の合併によって誕生した。

ブリティッシュ・レイランド時代の数少ない「名車」をいくつか紹介したい。
ブリティッシュ・レイランド時代の数少ない「名車」をいくつか紹介したい。

その結果、オースチン、モーリス、MG、トライアンフ、ローバー、ジャガーランドローバー、ライリー、ウォルセリー、ヴァンデン・プラス、デイムラーなど英国の自動車会社のほとんどが、トラック、バス、エンジニアリング事業とともに統合された。この合併自体の消化不良に加え、大幅な資金不足と悪夢のような労使紛争が重なり、事業規模は干ばつに見舞われたオーストラリアの湖よりも速いスピードで縮小していった。

しかし、1986年にブリティッシュ・レイランドという名前が廃止されるまで、「名車」ともいうべき伝説的なクルマがいくつか登場している。今回は、その最高傑作を紹介しよう。

オースチン1300GT(1969年)

「生まれるべくして生まれたGT」……当時の広告にはこのように書かれている。ビニールの屋根、偽の合金ホイール、ツインキャブレターのオースチン1300だ。長年にわたって英国のベストセラー車であったモーリス1100という「ビッグ・ミニ」の発売から7年後に登場した。

艶消しブラックの装飾が野暮ったいにもかかわらず、かなりのヒットを記録し、現在でも高く評価されている。70psのパワーは今となっては大したことないように思えるが、当時はホットハッチと呼ぶにふさわしいものだった。

オースチン1300GT(1969年)
オースチン1300GT(1969年)

イノチェンティ・ミニ・クーパー1300(1972年)

ブリティッシュ・レイランドは1971年にミニ・クーパーを廃止したが、イタリアのパートナー企業であるイノチェンティは1975年までクーパーの製造を続け、1972年に最高出力72psのクーパー1300を発表した。

英国産のものよりはるかによく仕上げられており、6連メーター、クロスのトリム、ロスタイル製ホイール、オープニング・クォーターライトなど、細部に至るまで改良が施された。イタリア、ドイツ、フランスで好調なセールスを記録した。

イノチェンティ・ミニ・クーパー1300(1972年)
イノチェンティ・ミニ・クーパー1300(1972年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ブレンナー

    Richard Bremner

    英国編集部
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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