メルセデス・ベンツGLC 詳細データテスト 必要十分な走り 見栄えも実用性も良好 ひと味足りない

公開 : 2023.09.23 20:25  更新 : 2023.10.24 20:41

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

ほぼすべてのGLCは、独ブレーメン工場で生産される。これは、MRA IIプラットフォームを共用するCクラスと同じだ。このことから、実質的にはマイナーチェンジと思われそうだが、それは間違いだ。

シャシー剛性は15%向上し、48V電装系を採用。シャシーは60mm長く、21mm狭くなった。延長分のうちの15mmほどはホイールベースで、これまでGLCの強みとは言えなかった後席レッグルームの拡大に効くはずだ。

現時点で、英国仕様のエンジンは4気筒のみで、AMGモデルも、4気筒の高性能版と、そのPHEV仕様となる見込み。それより気筒数が多いのは、未導入の直6ディーゼルのみだ。
現時点で、英国仕様のエンジンは4気筒のみで、AMGモデルも、4気筒の高性能版と、そのPHEV仕様となる見込み。それより気筒数が多いのは、未導入の直6ディーゼルのみだ。    MAX EDLESTON

英国仕様のエンジンは7機種で、220d 4マチックの2.0Lディーゼルターボ・マイルドハイブリッドから、ガソリンPHEVまで設定する。全車とも四輪駆動だ。今後はAMGモデルも追加見込みで、421psのGLC43とPHEVで680psのGLC63S Eパフォーマンスが加わるだろう。

それについての大きなニュースは、もはやAMGモデルでもV8やV6を積まないこと。274km/hに達するGLC63Sでさえ、A45で導入されたM139型2.0L直4がベースで、あとは強力なモーターアシストで補うことになる。4気筒では不満ならば、すばらしくスムースな6気筒ディーゼルターボを積むGLC400dの導入に期待するしかない。

サスペンションは、エンジンによって異なる。PHEVの300eは自動車高調整式エアサスペンションをリアに採用するが、それ以外の非AMG仕様は四輪ともスティールスプリング。4.5度の舵角で回転サークルを11.8mから10.9mへ縮小する後輪操舵は、PHEVのみに設定される。

そのPHEVは、31.2kWhの大容量バッテリーを搭載。EV走行距離は130km近い。

コイルスプリング車については、英国仕様はすべてスポーツスプリングを装備。これは、AMGライン系グレードのみの展開だからだ。オーストラリアなど、コンフォート系スプリングを設定するマーケットもあるのだが。

もうひとつ、AMGライン系のみとした影響はホイールにも見られる。最小サイズは19インチで、スポーティでないグレードに用意される18インチは、英国では選択できない。また、本格AMGモデル以外は、全車パッシブダンパーを装着する。

テスト車はマイルドハイブリッドで259psのGLC300で、トリムは最上位のAMGライン・プレミアムプラス。四輪駆動は常時トルクスプリットで、ややリア優勢の駆動力配分となっている。

トランスミッションは9速ATで、前輪への駆動力はトランスファーケースを介して送られる。ホイールは、ベースグレードより1インチアップの20インチで、これが今のところGLCの最大サイズだ。

実測重量は1929kgで、公称値より4kg重い。とはいえ、2016年にテストした、非ハイブリッドで装備内容も落ちるGLC250dより36kg軽い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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