スマート#1 詳細データテスト 個性的なデザイン 優れた静粛性 シャシーと操縦系は改善の余地あり

公開 : 2023.11.18 20:25  更新 : 2023.12.12 20:37

新生スマートの処女作は、価格と装備のバランスや、遊び心と実用性をともに満たすデザインなどが魅力的です。とはいえ、シャシーは平凡でシートはイマイチ。操縦系の気になる悪癖は、OTAアップデートでの改善に期待します。

はじめに

ポルシェオペルの長い歴史を振り返ると、創業当時も今もたいして違わないクルマを作り続けていることがわかるはずだ。ポルシェは相変わらず高級スポーツカーメーカーであり、オペルは中級実用車のブランドのままである。

いっぽうで、想定以上の守備範囲拡大を、比較的短期間に行うものもある。スウォッチとメルセデスの頭文字、そしてアートを組み合わせて命名されたブランド、すなわちスマートもそのひとつだ。当初は、大手自動車メーカーとスイスのお手頃ウォッチメーカーが、その腕時計の精神を具現化したシティカーを作るのが目的だった。

テスト車:スマート#1プレミアム
テスト車:スマート#1プレミアム    JACK HARRISON

GoogleやAppleが証明したように、クルマづくりというのは門外漢の副業としてはタフすぎる。そこでスウォッチは、経験豊富なメルセデスをパートナーに選んだのだ。それでも、クルマづくりの厳しい現実が身に染みたスマートは、徐々に求めていたものとは異なるプロジェクトへと変化しつつあることに気づいた。

やがてスマートは、全面的にメルセデス・ベンツの管轄となり、凝ったミニマムなクルマだけのラインナップから、三菱のメカニズムをベースにしたコンパクトカーのフォーフォーも加えたものへと移行していく。その後は、ジーリーが50%出資する合弁会社となった。

この新体制下で最初の製品である今回の#1は、フォルクスワーゲンID.3プジョーe−308などと競合するハッチバックEV。中国や韓国のメーカーも参入する競争の熾烈な市場だけに、かつてのフォーフォーが当時得ていた評価以上のものを求められている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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