スマート#1 詳細データテスト 個性的なデザイン 優れた静粛性 シャシーと操縦系は改善の余地あり

公開 : 2023.11.18 20:25  更新 : 2023.12.12 20:37

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

ベースとなるのは、ジーリーのサステイナブル・エンジニアリング・アーキテクチャー(SEA)。これは、ボルボEX30やジーリーの高級ブランドであるジーカーで使用され、ある意味ではロータスエレトレとも関連する。

もちろん、それらのプラットフォームはまったくの同一ではなく、サイズも設計も大きく異なるので、#1とエレトレが同じコンポーネンツで作られているわけではない。しかし、EX30やジーカーXとはかなりの共通点がある。これらはリアに271psのモーターを積むベーシック版と、フロントにもモーターを追加した428psの高性能版が用意される。

プレミアムとローンチエディションは共通、プロ+は別デザインの空力形状ホイールを装着。ブラバスはよりスポーティなものだが、すべて19インチだ。
プレミアムとローンチエディションは共通、プロ+は別デザインの空力形状ホイールを装着。ブラバスはよりスポーティなものだが、すべて19インチだ。    JACK HARRISON

総容量66kWhというバッテリーは、それら関連モデルよりやや小さいが、ニッケル・マグネシウム・コバルトという組成は同じ。エントリーモデルは総容量51kWh/実容量49kWhのリン酸鉄・リチウムとなるが、これはボルボでも使用されるものだ。最大充電性能は66kWh版が150kW、51kWh版が130kWだ。

前ストラット/後マルチリンクというサスペンションの仕立ては予想の範疇内だが、フロントよりリアのディスク径が大きいブレーキのセッティングは一般的ではない。これはEVが重いこと、またフロントにより大きいディスクを備える2モーター仕様と部品共用していることが主な理由だ。

メカニズムはジーリー由来だが、エクステリアはメルセデスのテイストが色濃く、V字型の前後ライトをライトバーで繋いだスタイルはEQモデルに似たもの。ただし、メルセデスほどお堅い感じではなく、遊び心が感じられる。シェイプはより丸みを帯び、ベースボールキャップのようなルーフラインや、フレームレスのウインドウ、上反りしたサイドシルなどを備える。

空力を意識した処理も多く、ほとんど開口部がないホイールやボディパネルとツライチのドアハンドルなどを採用。そのわりに0.29というCd値は高めだ。

これは、ボディサイズが一因だろう。スマートは#1をシティSUVと呼ぶが、大きなホイールと低めの地上高はハッチバック的だ。ところが、クプラボーンよりやや短いものの96mmも背が高い。よりSUV的なキア・ニロと比べても、66mm高いのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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