まるで「地球外マシン」の才腕 マクラーレン750Sへ試乗 後継のハードルを上げる完成度

公開 : 2023.11.25 19:05

720Sのアップデート版、750Sが登場 スムーズさを増したスタイリング V8ツインターボは750psへ向上 非の打ち所がない操縦性 英国編集部が評価

全体的にスムーズさを増したスタイリング

崇高なマクラーレン720Sが登場してから、早いもので6年が経過した。クラスを超えたロードマナーを宿し、極めて軽量でパワフルな、歴史に刻まれるスーパーカーだった。

近未来のマクラーレンにもV8エンジンは継投されるものの、ハイブリッド化が明らかになっている。同社の新CEOで、過去にフェラーリへ在籍していたマイケル・ライタース氏の主導で、開発は進められている。

マクラーレン750S(欧州仕様)
マクラーレン750S(欧州仕様)

それは、ハイブリッドのV6エンジンを搭載したマクラーレン・アルトゥーラの、格上モデルへ据えられる予定。スタイリングは、ビアス・ズールマン氏が手掛けるという。

他方、並外れた720Sの動力性能を凌駕するべく、フェラーリは296 GTBへプラグイン・ハイブリッドのV6エンジンを採用。830psの最高出力を与えた。だが、マクラーレンは現行モデルの進化の手も止めていなかった。750Sがリリースされたのだ。

実際のところ、720Sのフェイスリフト版といっても嘘ではないだろう。ポルトガル西部、エストリル・サーキットで初めて目にした時、確かに変化へ気づくことはできたが、以前の面影もしっかり残っていた。

黒く縁取られたヘッドライトの周辺、通称「アイソケット」は若干小さくなった。フロントスカートは、ボディと同色に塗られるエリアが広がった。サイドシル部分のエアインテークも拡大されている。全体的にスムーズさを増した印象だ。

抜かりない最適化 鍛造ホイールで13.8kg軽量化

リアには、マクラーレン 765LT譲りとなる、エアブレーキ・システムを実装。グリル部分にも手が加えられている。エグゾーストパイプが顔を出す位置は中央に寄せられ、少し高くなった。

歩み寄ってみると、750Sはエキゾチックでドラマチック。有機的で官能的だ。少し綺麗にまとまりすぎているようにも思えるが、感じ方は人それぞれだろう。

マクラーレン750S(欧州仕様)
マクラーレン750S(欧州仕様)

マクラーレンだから、細部の最適化には抜かりない。電気油圧式のステアリングラックは、レシオがクイックになった。若干だが回頭性が鋭くなり、中速域までは明らかに手応えが増えている。

10スポークのアルミホイールは鍛造。同社のホイールとしては最軽量のアイテムで、従来から4本で13.8kgも軽く仕上がったという。また、サスペンション・スプリングとダンパーも更新され、2kgの軽量化に繋げている。

コンフォートとスポーツ、トラック(サーキット)から選べるサスペンションのモードは、変化度が拡大した。同社技術者のサンディ・ホルフォード氏は、トラック・モードは公道にはまったく適さないと、その過激ぶりを認める。

ブレーキ・ブースターも新しくなり、ブレーキペダルの感触の一貫性を高めている。オプションで、マクラーレン・セナ譲りの6ポッド・モノブロックキャリパーを、フロントに組むことも可能とのこと。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

マクラーレンの人気画像