ほぼ「コンセプトカーの姿」で量産 アルファ・ロメオ・ブレラ/スパイダー 英国版中古車ガイド(1)

公開 : 2023.12.30 17:45

アルファ・ロメオの新世紀を飾ったブレラとスパイダー 惹き込まれるジウジアーロのスタイリング 長距離移動を楽々とこなす 英国編集部が魅力を再確認

アルファらしいジウジアーロのブレラ

2002年のジュネーブ・モーターショーで、アルファ・ロメオマセラティのV型8気筒エンジンを搭載したコンセプトカーをお披露目した。惹き込まれるようなスタイリングは、ジョルジェット・ジウジアーロ氏によるものだった。

3年後に発表された量産モデルが、そのイメージを色濃く映したブレラ。オープンで2シーターのスパイダーも、同時に提供が始まった。

アルファ・ロメオ・ブレラ/スパイダー(2005〜2011年/英国仕様)
アルファ・ロメオ・ブレラ/スパイダー(2005〜2011年/英国仕様)

スパイダーのスタイリングは、ブレラのフロントノーズとドアを利用しながら、ピニンファリーナ社とアルファ・ロメオのデザイン部門「チェントロ・スティーレ」が担当。全長は短縮され、スチール製ルーフの代わりに5層構造のソフトトップを採用していた。

シャシーは補強され、ブレラより車重は60kg重い。どちらも、生産を請け負ったのはピニンファリーナ社。今でも印象的なスタイリングといえ、特にジウジアーロのブレラはいかにもアルファ・ロメオだ。

エンジンの選択肢は、欧州では多岐に渡った。ブレラとスパイダーへ、2.2L 4気筒と2.4L 5気筒、3.2L V型6気筒の自然吸気ユニットが用意された。また、直4ターボの1750 TBiと、2.0Lと2.4Lのディーゼルターボも存在した。

基本的に優れたアルファ・ロメオではあったものの、当時の試乗評価は必ずしも上々とはいえなかった。動力性能と操縦性が、見た目から期待するほどスポーティではなかったためだ。

信頼性は高め プロドライブ仕様も存在

4気筒のブレラでも車重は軽いとはいえず、パワーのあるV6には複雑な四輪駆動システム「Q4」が載り、重く仕上がっていた。リアシートも狭かった。それでも、3.2LのQ4は安定感が高い。当時のアルファ・ロメオとしては、製造品質にも優れていた。

英国市場へ輸入されたブレラは、パノラミック・ガラスルーフに電動ブラインド、ヒーター付きレザーシートが装備された上級のSVグレード。オプションとして、18インチ・アルミホイールにパワーシート、ナビ、アップグレード・レザーなどが用意された。

アルファ・ロメオ・ブレラ/スパイダー(2005〜2011年/英国仕様)
アルファ・ロメオ・ブレラ/スパイダー(2005〜2011年/英国仕様)

2008年にV6エンジン版にも前輪駆動が追加され、電子制御のリミテッドスリップ・デフが標準装備に。英国のプロドライブ社が手を加えた、ガラスルーフ・レスの特別仕様「S」が500台限定で提供されてもいる。これも、2.2Lと3.2Lのエンジンから選べた。

英国でブレラの主力となったのは、四輪駆動の3.2L V6版。ドライバーズカーとして、最も望ましいチョイスといえる。他方、軽量な前輪駆動のV6を推すファンも少なくない。

現在の英国市場では、プロドライブのSが最も高い価格で取引されている。ただし、エンジンの種類を示すエンブレムは、ボディには与えられていない。

それ以前のアルファ・ロメオと比較すると信頼性は高く、ドライビングポジションは良好。スパイダーには少々複雑なオート・ソフトトップが載るため、動作確認は欠かせないけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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