「最新の技術と快適性」を堪能する メルセデス・ベンツCクラス 300eへ試乗 内装は期待へ届かず

公開 : 2023.12.25 19:05

6気筒は必要ないという主張へうなずける

メーター用モニターは、12.3インチ。デフォルトの画面は情報過多ながら、表示内容はカスタマイズできる。ダッシュボード中央には、11.9インチのインフォテインメント用タッチモニター。画面の下端に、エアコンの操作アイコンが常時表示される。

リアシートの広さは、このクラスの平均。一般的な身長の大人なら、特に不満は感じないだろう。

メルセデス・ベンツ C 300e AMGライン(英国仕様)
メルセデス・ベンツ C 300e AMGライン(英国仕様)

荷室はやや狭めだが、幅が広く使いやすそう。リアシートの背もたれを倒せば、長い荷物も載せられる。ただし、駆動用バッテリーが床下部分に位置するため、高さ方向には制限がある。利便性を重視するなら、ステーションワゴンを選びたい。

2t以上の車重を持つC 300eながら、動力性能は充分。312psあるだけあって、余裕綽々のようだ。試乗日は雨だったが、カタログ値を超える6.0秒以下で0-100km/h加速をこなしてみせた。

トラクションに優れ、アクセルペダルの加減が必要だったのは発進時のみ。理想的な条件なら、5.5秒は狙えそうだ。

中間加速は、6気筒ディーゼルターボ並みにたくましい。むしろ、駆動用モーターの素早い立ち上がりで、アクセルレスポンスはそれ以上。機械的な上質感も高い。メルセデス・ベンツが、Cクラスへ6気筒は必要なくなったと主張することにもうなずける。

ちなみに、258psのC 300も充分速い。高回転域では若干息苦しそうに感じられるものの、追い越しで気を揉むようなことはないはず。

不満ない姿勢制御と好バランスなグリップ力

Cクラスは、以前からスポーツサルーンとはいえなかった。運転姿勢も、それを物語る。だとしても、操縦性は好ましい。滑りやすい路面状態でも、不満ない姿勢制御と好バランスなグリップ力を発揮していた。軽くない車重の影響も、巧みに抑えられている。

回頭性が鋭いわけではないものの、線形的で滑らかに向きを変える。きついカーブでは、後輪駆動らしい身のこなしをほのかに感じる。ステアリングは正確で、路面を問わずボディは落ち着き、キビキビと郊外の道を駆けていく。

メルセデス・ベンツ C 300e AMGライン(英国仕様)
メルセデス・ベンツ C 300e AMGライン(英国仕様)

サスペンションは快適性重視といえるが、浮遊感を伴うほどではない。高速で旋回してもロールは小さく、グリップへの影響も抑えられている。加減速時のピッチも、抑えられていた。

グリップ力の限界を迎えると、フロントタイヤが先に外へ流れる。C 300eの場合、リアに重い駆動用バッテリーが載るため、適した挙動といえる。路面の凹凸に対する処理も上々。巧みに上下動を吸収し、ボディが揺さぶられる場面は少ない。

だが、ステアリングホイールは軽く回せるものの、手のひらへの感触は希薄。ブレーキペダルにも、もう少しフィードバックが欲しいところではある。

走行中の車内は静か。風切り音やロードノイズは、充分遮断されている。4気筒エンジンが高回転で仕事を始めたり、路面が荒れてくると、ノイズが車内へ届くようになるが、全般的には平穏に移動できるサルーンだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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