「ドライバーを虜にする」VTECと回頭性 ホンダ・インテグラ・タイプR(DC5型) 英国版中古車ガイド

公開 : 2023.12.31 19:05

初代インテRに劣らず優れていた2代目 ドライバーを虜にするVTECエンジン 切り札といえた鋭い操縦性 英国編集部が魅力を振り返る

英国へ正規導入されなかった2代目インテR

常に一定の需要を残す。最初にその手法を取り入れた自動車メーカーは不明だが、商業的な成功を収めるうえで、しばしば用いられる考えだ。すべてのプレミアム・ブランドは、あえて生産数を低く抑えることで、一層の需要を喚起している。

ポルシェフェラーリだけでなく、ベントレーアストン マーティンも。日本のホンダも、そんな考えに乗ったのかもしれない。初代インテグラ・タイプR(DC2型)が、1997年からグレートブリテン島へ輸入されたのは、僅か500台に限定されていた。

ホンダ・インテグラ・タイプR(DC5型/2001〜2007年)
ホンダ・インテグラ・タイプR(DC5型/2001〜2007年)

日本では1995年から販売されており、事前評判は極めて高く、ほぼ全数が上陸前に完売したという。痛快な走りっぷりを考えれば、間違いなくそれ以上売れたに違いない。しかし、再輸入はなかった。

2001年に、インテグラは次世代へモデルチェンジ。2002年にDC5型のタイプRが登場するものの、今度は日本でしか販売されなかった。英国の国民は、購入欲求を叶えることすらできなかった。

しかし、並行輸入というカタチでグレートブリテン島へ複数が上陸している。近年も、需要に応じて日本から運ばれているようだ。

そのおかげで、2代目インテグラ・タイプRは比較的簡単に探すことができる。走行距離はかなり伸びている例が多いものの、ドライビング体験の楽しさと扱いやすさを考えれば、仕方のないことだろう。

ドライバーを虜にするVTECエンジン

多くのドライバーを虜にするのが、パワフルな2.0L 4気筒VTECユニット。初代から排気量は200cc拡大され、最高出力は30ps増しの220psへ上昇している。しかも、10kgも車重は削られている。

自然吸気だから、伸びやかな回転上昇へ惹き込まれる。ホンダ自慢の可変バルブタイミング機構が6000rpmでカムを切り替え、エンジンの特性は変化。8400rpmのレッドライン目掛けて、雄叫びを響かせながらパワーを放出していく。

ホンダ・インテグラ・タイプR(DC5型/2001〜2007年)
ホンダ・インテグラ・タイプR(DC5型/2001〜2007年)

最高出力の発生回転域は、レッドライン直前の8000rpm。最大トルクの21.2kg-mには、7000rpmで到達する。

一方で、操縦性こそ2代目インテグラ・タイプRの切り札だと考えているファンも多い。実際、シャシー開発にはF1技術者も携わっていたそうだ。

フロントノーズは、ステアリング操作へ対し素早く正確に反応。安定感が高く、シャシーバランスも素晴らしい。ほぼボディロールを生じない、引き締められた足まわりのおかげで、身のこなしは極めて機敏だ。

前輪駆動だが、リミテッドスリップ・デフが組まれ、アンダーステアも抑えられている。1170kgしかない車重も、それを助けている。

スタイリングも、スポーティな走りへ見事に一致した。クリーンな面構成で、シャープなフォルムをまとい、過剰ではないアグレッシブさがある。専用のエアロキットが、空力特性を改善させている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    オリバー・ヤング

    Oliver Young 

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

ホンダ インテグラの人気画像