ルノー・メガーヌ×4コントロール 「エスプリ開明度」を問う試金石

2018.11.21

よりピュアに旋回性を追求したメガーヌR.S.独特のバランス

1.6ℓターボで205ps/28.6kg-mのスポーツ・ツアラーGTから乗り換えると、メガーヌR.S.の1.8ℓターボの279ps/39.8kg-mは、まずもってトルクフルかつレスポンスも鋭い。

調子にのって加速し続けていると、コーナー手前でのせられる速度域が1.5ランクほど高くなる。それでも335mm径のローターに4ピストンキャリパーを備えたフロントブレーキは、確実に速度を削ぐばかりかコントロール性にも優れている。

コーナーの進入から旋回に入っていく感覚は、やはりスポーツ・ツアラーGTより一段鋭い。とくに低速コーナーでは、あちらはリアステアが効き出して後車軸周りのヨーが増す感覚が、ステアリング操作に対して半拍あけて介入してくる感覚だが、メガーヌR.S.は舵角がより小さいのか、それとも介入が少しだけ早められているのか、ドライバーに4コントロールの効きをほとんど感じさせない。

結果として、4コントロールの効きを楽しみながら安心感に満たされるスポーツ・ツアラーGTに対し、メガーヌR.S.では腰回りや手のひらに伝わる挙動をひたすら察知しながらコーナーを駆け抜けていく方へと、意識が向けられるのだ。

意外にも、同位相/逆位相の閾値はノーマルモードで約60km/hと、メガーヌR.S.でも「効き始め」の速度域はスポーツ・ツアラーGTと変わりない。

レースモードではその境界線は100km/hにまで引き上げられ、エンジンや駆動系レスポンスが増し、操舵角が小さくて済む点も同じだが、ESPカットのモードなので、基本的にはサーキット走行モードといえる。

だが、ルノー・スポールのテストドライバーにしてあのニュル・アタッカーである、ロラン・ウルゴンはこうもいっていた。

「今度のメガーヌR.S.は4輪をとにかく接地させてオン・ザ・レール感覚でも走れるけど、それは滑り出す領域を無視したわけじゃないんだ」

「むしろ4輪の接地が安定しているぶん、限界を超え始めたところの挙動は穏やかで、個人的には公道でもESP無しのレースモードで楽しめると思っているよ」

5ドアを選択したメガーヌR.S.は、過激さを追求するだけがスポーツドライビングの質を磨き上げることではないことを、むしろ巧みに突いているのだ。