90歳の「年の差」 2台のベントレーに「初志」を見いだせるか? 実車で検証

2019.07.04

ベントレー・ブランドの初志

今日的な眼でみるならば、オールド・マザー・ガンは自動車の中では限りなく馬車に近く見えるかもしれない。かつて馬が繋がれていた場所に、長大な内燃機関が据えられているのである。

一方バンデンプラ製のボディはオープントップの体を成しているが、幌をかければ角の張った荷馬車のようなシルエットが現れる。

草創期のル・マン24時間レースで世界最高のクルマとしての名声を確かなものにしたベントレーだが、その志は必ずしもモーターレーシングに向けられていたわけではなかった。地平線の彼方まで、極めて快適に走り続けられるクルマ。そんな事実を世界に向けて証明できる場所として、草創期のベントレーはル・マンを選んだのである。

ちなみにミュルザンヌとは、ル・マン市にある村の名前。レースファンの間ではサルテ・サーキットの直角に近いコーナーの名前として知られている。

ル・マンの栄光をモデル名に掲げたミュルザンヌ・スピードには、全てのベントレーがそうであるように快適に走り続けるための図抜けたポテンシャルが込められている。

ベントレーは高級車たらんとして排気量の大きなエンジンや広い室内が与えられているわけではない。むしろ方法論としてはその逆で、時代を越えて継承していける耐久性や、乗り心地、そして確かなドライバビリティといった各々を余裕をもって揃えていく。

こうして生まれたベントレーの完成度が、いつの時代も高級車の指標となっていくのである。

ベントレー・ミュルザンヌ・スピード

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