アウディTTに宿る「バウハウス的要素」とは? その100周年に現地を訪ねた インゴルシュタット篇

2019.12.04

クリアでタイムレスなデザインとは何か

初代TTと同時期のスポーツカーといえば、BMWはFRレイアウトのZ3、メルセデス・ベンツは電動ハードトップのSLK、ポルシェはミドシップの初代ボクスターを擁していた、そんな時代だった。

その後の、ハイパワー化とドライビングプレジャーの追求、そしてきめ細かな駆動力制御と走行中の安定性を確保するという方向性は、quattroが決定づけたものといえる。

エフィシェンシーの高さと安定感を、明快なプロポーションと意匠でまとめ、20年前に大胆で冒険的と評されたTTのデザインはいわば、必然の産物でもあったのだ。

「建築とクルマの異なるところは、後者はモーション、つまり静的状態でのダイナミズムや、動きの中での安定感を表現する点でしょうね」とダニー・グラント。

「わたしたちは当然、デジタルツールも用いますが最初はスケッチありき。3Dデータはプロセスの1つというだけで、実物大のクレイモデルも早い段階から用います」

「視覚的な重心位置などは実際の目で見ないとわからないものですし、最新のTTにも初代のDNAが入っていると、結果的にいわれますね」

アウディのデザイン・クオリティとは、「クリアでタイムレスであること」と、グラントはいう。そのアプローチを可能にする概念として、素材への知識と芸術的感性、そして人間の生活を豊かにするという意志、これらのシンビオーズ(有機的結合)に、今では環境への配慮という要素が加わりつつあるそうだ。

「クールといわれるものが、社会的に有害であれば、即座にカッコ悪いものに転じます。ソーシャル・アクセプタブルな、責任あるプロダクトであること、です」

ダイナミズムの中で安定感を発揮し続けること、人の感性に寄り添うインテリジェントなシステムであること。

キャプション

TTにはバウハウスに連なる、芸術的感性の理性的アプローチが息づくからこそ、過去と未来の中立点に止まり続けるタイムレスな存在感がある。