【辛口だが忠実な駿馬】アストン マーティン旗艦モデルのカリスマ性は DBSスーパーレッジェーラ試乗

2019.12.18

非の打ちどころなきサラブレッド

上下フラット形状のスパルタンなステアリングに手を添え、当たりのソフトなバケットスタイルのシートに腰を沈める。

想像よりV12ツインターボのアイドリングはジェントルだ。

ゆっくりアクセルを踏み込むと、よく躾けられたサラブレッドがそうであるように、クルマの方から手の内に収まって来るような、好ましい感覚がある。

さざめくようなエンジンの回転フィールと高剛性のシャシー、そして緻密なステアリングフィールが、手のひらや腰周りから、一気に高解像度のインフォメーションとしてなだれ込んでくるのだ。

91.8kg-mというアストン マーティン史上最強のトルクは、優しくリードする限りはドシリティそのもの、つまり従順さに徹する。

操作系から足周り、パワートレインのマウントまで、ずば抜けた剛性感の高さを伴いつつ、強大なパワーを手足の微細な動きで意のままに操る感覚は、DBSスーパーレッジェーラの通奏低音だ。

決して柔らかい足周りでないのに、路面の継ぎ目や不整に揺すられても、スタッと軽やかに踏み越えるような硬質の滑らかさが、乗り心地として印象に残る。

通常の「GT」から走行モードを「スポーツ」、「スポーツ+」へ切り替えると、操作系のダイレクト感だけでなく、レブの使用領域も上昇し、咆哮の声質が高まる。

時折、リアからバックファイアが響くが、トロット程度の速度域でも、ミリ単位の転舵やアクセルの踏み込みで違いを生むような濃密なやりとりが愉しめる。

一方で、ひとたびアクセルを深く踏み込めば、3速からでもパワースライドを誘発することはたやすい。

725psを公道で解き放つのは不可能だが、荒々しい獰猛さは、乗り手を嘲笑うような挑発的な類ではない。むしろ乗り手の手綱さばきによってのみ、最高のパフォーマンスを発揮するという意味において、DBSスーパーレッジェーラは甘さだけに終わらない、辛口だが忠実な駿馬といえる。

そこにアストン マーティンの旗艦モデルとして、矜持と血統を感じさせる、そういう1台なのだ。

 

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