【見ない日はない?】アルファード、なぜ大量に走っているのか 多くの人が選ぶワケ

2019.12.27

運転席よりもむしろ後席で

マイナーチェンジでより磨かれた走りの質感、その恩恵は運転席側よりもむしろ後席側で大きく感じられる。

大開口部を持つ高屋根の箱型がゆえ、このクルマの進化の歴史は振動との戦いだったといっても過言ではない。

現在もそれは完璧とはいえず、路面状況によっては嫌な振動が床板伝いに真ん中のご立派なシートを揺らすわけだが、その量、質が着実に向上し続けていることは、何より前型や旧世代のユーザーが肌で感じとれることだろう。

とはいえ、乗り心地に関しては様式美と化したセダンの側が優位なことは物理的に明らかだ。

しかしアルファードはその不利を同じ物理で覆す。天地や足元の広大な空間や足腰に優しい乗降の動線はセダンには真似のしようもない。

売れ筋である2列目キャプテンシートのモデルであれば、飛行機や新幹線の上級シートと違わぬくつろぎ感が毎日の路上の移動でもたらされるわけだから、乗せられる側がやめられなくなるのもよくわかる。

ではドライバー側にとってはひたすら退屈なクルマなのかといえばそうとも言い切れない。

燃費と静粛性の両取りを果たしたハイブリッドに対して、燃費では明らかに不利なV6ユニットの吹け上がりの心地よさやハイパワーぶりは、今やユニークな存在だ。

今回のマイナーチェンジではそのV6が新型へと更新されたのと併せてATも8速化を果たし、それを扱う楽しみを深めている。

コーナーを曲がってどうこうというクルマではないことは明らかだが時にはスポーティな気分にも浸りたいと、そんな希望に応える選択肢もあるということだ。

90年代に日本で生まれた乗用車ベースの箱型ミニバンというカテゴリー。

アルファードはその延長線上にありながら高級車の新しい形態を提示するに至り、このコンセプトはアジア圏でも広く受け入れられた。

新たな世界で新たな価値観が認められる。これは日本人として、ちょっと誇らしい話だと思う。