輸入車のブレーキ鳴きの原因はこういったところに潜んでいます
レッドポイントの赤座です。
ブレーキを操作した際に「キィ〜〜〜ッ」っという音、誰もが嫌う、嫌な音ですね。
そもそも国産車のブレーキ鳴きと、輸入車のブレーキ鳴きは、発生する原因が異なる事をご存知ですか?
国産車の場合、ブレーキパッドの残量が少なくなると、鳴く音が出る様に作られている車もあります。
輸入車の場合、そのお知らせ機能はありません。
なので、鳴く原因がその車によって異なるのです。
今回は輸入車のブレーキ鳴きのケースとして最も確立の高い症例のご紹介です。
「ブレーキ鳴きがするので・・・」というご相談お客様よりいただきました。
ブレーキ鳴きとお伺いした後に、先ず行う点検がBOSCH SDLテストなのです。
パッドの面取りをやらねば!では無く、テスタを用いて診断スタートです。
そこで出てきたテストデータがこちらです。
この結果は、SDLテスト内のブレーキテストの結果です。
ご来店時は、鳴きがしない状況に変わっていました。
そうなると、フロントで鳴くのか、リヤで鳴くのかも判別できませんね。
その判断と、原因を数秒のテストで判別可能です。
SDLのブレーキテストは、前後を分けて個別に診断します。
ローラー上にタイヤを載せ、回転するローラに対して3段階のテストを行ないます。
2段階目は、軽い踏力で制動をかけ、制動力が均一かをチェックします。
一定の力で踏んでいるにも関わらず、制動力にアンバランスが出る場合は
ブレーキディスクの歪みが考えられます。
この時にもう1つチェックできる項目がありまして、徐々に制動を上げていき、
「鳴きのポイント」を探るのです。
一般道では不可能な事も、テスタ上では可能となります。
今回の場合は、800N付近の制動力時にブレーキ鳴きが発生しました。
そこで制動を上げるのをストップし、均一に保持します。
今回は、800Nの制動時に、最も鳴きが強まることが分かり、同時に左フロントブレーキディスク
の歪みが多いことが分かりました。
リヤ側のテスト時には鳴きが一切出なかった為、鳴きの原因はフロント側である。と判断できます。
今回の鳴きの主な原因、それはフロントブレーキディスクの歪みなのです。
ブレーキディスクが歪むと、制動時に特定の周波数を伴う振動・共振を発します。
その周期に条件が重なると、耳に聞こえる音となって表に聞こえるようになるのです。
人間の耳に聞こえる周波数域がブレーキ鳴きです。
なので、動物達にはもっと沢山のブレーキ鳴きが聞こえているのかもしれませんね。
ちなみに、半年ほど前の同じ車輌のブレーキテストでは歪みは全く確認されていませんでした。
今回のブレーキ鳴きを抑えるに当たり、必要となる作業は以下の内容です。
*ブレーキディスクロータの研磨
*ブレーキパッドの清掃・背板グリスの塗布
*ブレーキキャリパ稼動部の清掃・グリス交換
*ディスクロータ取り付け面の平面清掃・防錆
作業前のブレーキ周りは汚れが目立ち、ディスク面もレコード状になっています。
それぞれの部品を取り外し、トレントによる洗浄を行います。短時間でとても綺麗になる優れものです。
ブレーキディスクは研磨を行い、すべての部品を組み付けます。
その後、試運転を行い、正常かどうかの判断を行います。
そして、仕上にもう一度ブレーキテストです。
今回の一連の作業により、ブレーキ鳴きは治まりました。
どんな作業もそうですが、原因を見つける事が最短・最良の整備をご提案できると考えています。