“TUNE UP YOUR VOLKSWAGEN”〜ビッグボアKIT マシーンイン編〜 ビッグボアでより快適なドライブを
オススメのチューニングメニューの紹介、パーツ解説、ノウハウをお伝えする
“TUNE UP YOUR VOLKSWAGEN”ブログの第7回目はワンランク上の排気量アップを狙う
“ビッグボアKIT マシーンイン編”です。
「チューニングエンジン」や「排気量アップ」と聞くと、「レースに出る様なVWの話?」
と思ってしまいがちですが、実は、「高速道路で右側車線を快適にクルーズしたい!」、
「信号等での出だしの鈍さが気になる、、」「坂道でもグングン登りたい」など、
普段のドライブでのストレスを軽減するためにも非常に有効なメニューです!
「ノーマルエンジンで十分楽しんでいます!」という方、本当はどこかで「昔の車だから遅くて当たり前、、
トルクが無くても仕方ない、、、」と諦めていませんか?!
必要性に応じて正しくチューニングする事は愛車を長く楽しむ上でとても大切な事だと思います。
ぜひ今回の「TUNE UP YOUR VW」シリーズ等を参考に、ショップにてご相談の上
プロジェクトをスタートしてはいかがでしょうか。
第3回TUNE UP YOUR VWブログでは、エンジンケース加工せずに排気量をアップできるメニューとして、
「スリップイン」タイプの1641cc / 87mmビッグボアKIT(EG-000AH)への交換をご紹介しましたが、
今回は、もうちょっと予算に余裕がある方、更に大きな排気量にしたいという方へ向けて、
「マシーンイン」タイプのビッグボアKITの紹介と説明をしたいと思います。
「マシーンイン」タイプのビッグボアKITとはその名の通りエンジンケースのシリンダー径を拡大させる
ボーリング加工を施すメニューですが、それにより排気量を大きく変更でき、エンジン性能の選択肢が広がります。
具体的には、下記が主なマシーンインボアKITのボア径ラインナップとなります。
『88mm』『90.5mm』『92mm』『94mm』
当社がラインナップしているビッグボアKITには、例えば同サイズの90.5mmでも、
「90.5 x69mm」と「90.5 x 82mm」と2種類ありますが、これはピストンのリストピン位置が違う事から
わけられており、x69mmと表記されているピストンが俗に言われる『Aピストン』と呼ばれ、
76mmストローク迄のクランクシャフトに対応。これに対しx82mmと表記されるピストンは『Bピストン』と呼ばれ、
78mmストローク以上のクランクシャフトに対応とされています。
(*クランクシャフトのストロークの違いについては後日改めて解説致します。)
上記紹介のビッグボアKITを1600ccエンジン(85.5x69mm)ベースで組んだ場合、
それぞれ下記エンジン排気量サイズが可能となります。
ボア径 = エンジン排気量
『88mm = 1679cc』
『90.5mm = 1776cc』
『92mm = 1835cc』
『94mm = 1915cc』
これらの中からケース加工代やロングユーズなどの費用対効果を得られる排気量を考えると断然お勧めなのが、
90.5mmビッグボアKITを使用した『1776cc』です。その次となると94mmビッグボアKITを使用した
『1915cc』だと思います。
その理由として、ピストンサイズにはそれぞれ下記の様な特性があるからです。
88mm(マシーンイン)】
非常に冷却にも優れたピストンセットとなりますが、エンジンケースのボーリング加工代の費用対効果を考えると、次の90.5mmの購入を勧めます。ただし、TYPE-1コンバーチブルやTYPE-2バス、そしてTYPE-3等比較的熱を持ち易い車種にはお勧めのピストンサイズです。
【90.5mm】
シリンダーの肉厚もストックエンジンの85.5mmピストンと同等で冷却にも優れており、VWビッグボアサイズとして最もポピュラーなサイズチョイスです。
【92mm】
90.5mmに対するスリップインバージョンでありシリンダーの肉厚が薄くなる事から使用状況を考えた上での選択をお勧めします。しかし、同じ92mmピストンでもシックウォール(厚壁)タイプはエンジンケース・シリンダーヘッド側ボーリングサイズが次に紹介する94mmピストンセットと同様の為、シリンダーの肉厚も十分に確保され冷却にも優れておりお勧め出来ます。
【94mm】
92mmで熱を持つと言われているのに94mmなんて。。。と考えてしまいそうですが、その理由はピストンサイズの問題ではなく用意されるシリンダーの肉厚に関係するものであり、94mmピストンのシリンダーの肉厚はストックエンジンの85.5mmと同等のため非常に良いです。しかし、一方でシリンダーの肉厚を保ちながら外寸を抑える為に90.5mmピストンセットのシリンダーに比べるとフィンサイズが小さく成っていますので冷却面では90.5mmセットよりは劣ります。
この様に比較検討すると、最も主流で費用対効果に優れたサイズが「90.5mm」となるのです。
ボアサイズがイメージ出来たところで、どのメーカーのKITを選べば良いのでしょうか?
当社がラインナップしておりますメーカーは2種類、『AA製』と『MAHLE製』になります。
AA製は、二種類の成分を溶解して作られた共晶合金の中でも、シリコン(Si)量が18%〜24%と
合金元素濃度が多いHYPEREUTECTIC(過共晶)アルミ合金を使用しています。
こちらは、耐摩耗性、耐熱性が高く、ピストン用合金として使われています。
一方、MAHLE製は、金属を過熱しながらプレス機で圧力をかけ鍛えながら型を造っていく
フォージ(鍛造)製のアルミ合金を使用しています。強度が高く、肉薄にできるため、
軽量で耐久性に優れている事から、特にハイパフォーマンス、レーシングエンジン等
ハイコンプレッションのエンジンに最適です。
設定する圧縮比や使用目的によってメーカー選択が分かれてきますが、
目安としては、圧縮比が9:1を超えてくる仕様においては強度で上回るMAHLE製の鍛造ピストンの使用をお勧めします。
実際には、ピストンサイズを変えるだけでどれだけ違いが生まれるのか、どの組み合わせを選択するのが
自分の使用状況においては良いのだろうか?これらは是非経験値の高いプロの意見を聞いてご相談のうえ決定して下さい。
各種ビッグボアKITのラインナップはこちら
では、次回は当社がおすすめする90.5mmビッグボアKITを使用する『1776ccエンジン』を組んでいく上でのパーツ選択、
その注意点等にフォーカスして行こうと思いますのでお楽しみに。
(注意)ここに記載されるエンジンの排気量変更に対しては「構造変更」が必要となります。