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相変わらず多い、W203 Cクラスのドアミラー故障 新品交換の半額で直る?



羽鳥鈑金塗装工業所の羽鳥です。
こうしてAUTOCARに掲載している当社での修理事例の中で
なに気に多いのが、W203型の2代目メルセデス・ベンツ Cクラスのドアミラーに関するトラブル。

2000年代初期に登場・販売されたのがこのW203ですが、輸入車ではミラーをたたむということが
あまり重要な機能と考えられていなかったのか、当時の日本車と比べるとやはり脆弱なのでしょう。
 
 
さて、今回のケースでは、、まずは「ベンツのミラーが動かなくなってしまった」とのお問い合わせでした。
お客様曰く「少し前まではドアミラーの展開・格納スイッチを何度も連打していると動く時があった」
「お宅の過去のブログで同じような案件が載っていたのを見た。それと同じじゃないか?」とのことで、ご来店いただきました。

メルセデスに限りませんが、これぐらいの年代以降のクルマでは、こういったコントロールユニットやスイッチ類に
トラブルがあった時は修理ではなく、消耗品的にアッセンブリー交換するのが常識となっています。

安い部品ならばいくらでも交換すれば良いのですが、こういった部品は結構高価な場合が多く、
このドアミラーのスイッチも、ヘッドライトなどの灯火類を一元で操作するコンビーネーションスイッチや
ヘッドライトのレベライザーの調整ダイヤルが一体になっており、純正部品の新品価格は10万円近くしますし、
交換となればそれに作業工賃も別途かかります。値段の安い社外品や中古品を使うという手もありますが、
信頼性や保証のことなどを考えると、結果として安くないということになる可能性もあります。

そこで、費用をできるだけ抑える手段として、分解して内部の仕組みが動作するように
清掃したり接点の導通を回復させたりするのですが、これとて完全な「修理」ではなく、
一時的な「修繕」であるとお考えいただきたいですね。とはいえ、ほとんどの場合では
問題なく使用できるように直るのですが、メーカーの推奨する直し方ではないため、
「絶対に直る」とか「いつまでも大丈夫」とは誰も保証はできないのです。

それらのメリット・デメリットをお客様にお話ししたところ、
「了解しました。新品に交換すれば10万かかるところが、修理なら半分ぐらいで済むんでしょう?」

「そうですね。バラしてみないとわかりませんが、おおむね3万円ぐらいからかと・・・」

「じゃああ、それでお願いします!」
と作業を行うことになりました。
 
 


今回はドアミラーの配線ではなく、ドアミラーの格納・展開のスイッチの接触不良と思われるため、
ダッシュボードの右端に着いている「ヘッドライトスイッチ」のアッセンブリーを取り外します。
 



基本的に内装パネルの見える部分にはビス類は露出していないので、パネルの隙間に「この辺りかな?」
と内装分解用のプラスティック製へらを差し込みます。外れる方向を見極めながら、差し込み部のツメや
クリップを破壊しないように、大胆且つ慎重に「えいやっ!」とやるとカバーが外れます。
 
 



ヘッドライトスイッチ・アッセンブリー自体はネジ1本で留まっていますが、
このネジはサイドブレーキの解除レバーの裏側にあります。
非常にわかりづらいところに、トルクスネジで留まっています。先ほどの内装パネルの取り外しなども含めて、
「何のことだかよくわからない」と思われた方は無理にDIYなどをせずに、工場にお任せください。
 


ネジが取れたら、裏側のツメを押せばヘッドライトスイッチ・アッセンブリーが外れます。
そしてこれまた多くのツメで留まっているカバーをスイッチと分離させます。
 
 


そしてこのヘッドライトスイッチを分解してドアミラー開閉スイッチを修繕します。


スイッチが実装されている基盤とそれを押す接点が付いたカバー状の部品を外します。
が・・・、この冗談みたいに小さなトルクスネジが使われていて、これだけでも
「勝手に分解するんじゃナイ!」というメーカー様の声が聞こえてきますね・・・
 


これ、テレビのリモコンの中身も似たような構造になってますよね。
で、同じように接触が悪くなる。まさに「クルマの家電化」の一端を感じさせるような気がします。
物理的に断線していたり、基盤が腐食している様子もないので、
分解した各部のスイッチ接点を無水アルコールで清掃してみました。



「ひょっとして、コレで直るんじゃナイの?」と仮組みしてテストしたところ無事に動作したため、
そのままキッチリと組み付けて「完成」! と思ったら、また動かなかったり、動いたり。
もう一度すべてバラして、スイッチ部の導通性を良くする、とある加工を施したところ
今度は無事に作動するようになりました。こういったモノの修理の場合、こうやって何度も
バラしては様々な方法を試みて、また着けてテストを・・・を繰り返します。
新品スイッチだったら交換すれば良いだけなので、よくよく考えるとこの方が工賃がかかるのですが、
いかんせん部品代の高さが圧倒的という・・・
 
 


とにかく直って良かった! と気になったのがエンジンのチェックランプ。
どうやら元から点灯していたようで、お客様に確認しても「ディーラーには大丈夫って言われた」とのこと。
メーカーが言うから大丈夫なんでしょうが、チェックランプは消してもらえなかったのね・・・
 


とりあえず、当社が所有する診断テスターを繋いだところ、過去に入力されたエラー履歴がズラズラと・・・
別にこれ自体は不思議なことでもなんでもありません。


どうやら過去にミスファイアが起こったようで、それでチェックランプが点灯していたんですね。
現在、不調はないようですので、残っていたエラー項目をクリアすると・・・


無事にチェックランプも消えて、晴れて納車となりました。
 
 
今回は純正部品を交換した場合の半額ほどで対応させていただきました。
(すべてのケースがこの価格というわけではありません。症状や作業内容で変わってきます)

というわけで、直るかどうかは現車の状態次第ですし、あくまでも「修繕」ですので、
部品のライフが無限に延長されたというわけでもありません。
しかしながら、W203のドアミラー開閉が作動しなくなったという故障の修理は可能ですので、
10万円は出したくないなぁ・・・とお困りの方はお問い合わせください。
 
 
ただし、「電話で直し方だけを相談し、ご自分で修理する」というのはご勘弁ください。
正直なところ、新品の純正部品をメーカーから取り寄せてお客様に定価で販売しても
仕入れ値が非常に高いため、当社としては利益はほとんどありません。

では、なにで稼ぐのかといえば、「作業工賃」であり、それすなわち技術や設備、そしてノウハウや時間なのです。
「そこ」の部分はさすがにホイホイと無料でお教えするわけにはいかないんですね。
申し訳ないですが、ご自分でお調べになり、(失敗を重ねながら)習得してくださいとしか言えません。
DIYの楽しみや個人の趣味を否定するわけではありませんが、我々お店もボランティアではありませんので・・・。

羽鳥鈑金塗装工業所

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