アウディR8 V10プラス Sトロニック

公開 : 2012.10.25 14:57  更新 : 2017.05.29 18:18

■どんなクルマ?

アウディR8のV10モデルには、スタンダートな518bhpモデルと、552bhpのV10GTクーペの2モデルが存在していた。しかし、V10GTクーペは限定生産モデルであり、すでに現在ではオーダー・シートに名を連ねることはできない。しかし、この新しい542bhpのV10プラスは、通常のカタログ・モデルとして、そしてR8のフラッグシップとして追加されたモデルなのである。

価格の上では、ポルシェ911ターボS、ベントレー・コンチネンタルGT、アストン・マーティンDB9などとライバルになろう。しかし、R8のスペースフレーム構造と、ミッド・エンジン・レイアウトは、大きなセールス・ポイントとなる。

V10プラスはスタンダードなR8に対し、カーボン・セラミック・ブレーキが標準となり、フロント・サスペンション・ジオメトリーも見直され、レートを上げられたスプリングと、より固められたダンパーなどが装備される。カーボン・セラミック・ブレーキは1つのホイールに付き4kgの軽量化を果たしている。また、軽量バケット・シートが装備され、様々なパーツがカーボンファイバーに交換されるなどした結果、そのボディ・ウエイトは1570kgとなっている。これはV8モデルよりも僅かに10kg重いだけという数値だ。

■どんな感じ?

テスト車輛は、従来のロボタイズ6速マニュアルにかわって、7速のデュアル・クラッチ(Sトロニック)が装備されていた。多くのV10プラスのオーナーは、このデュアル・クラッチを選ぶことになろう。その理由は、第一に0-100km/h加速がクラスでも最も速い3.5秒というタイムをマークできること。第2にマニュアル・シフト・モデルの酷い感触から解放されること。そして第3に、マニュアル・シフト・モデルよりもギアチェンジが遥かに滑らかで、日常的なストップ・アンド・ゴーでもギクシャクすることがないことだ。

サスペンションのリファインは、R8の素晴らしい乗り心地とハンドリングには大きな影響を与えなかった。これは良いニュースであろう。しかし、フラットでない道では、スタンダードなR8 V10にはあったソフト・モードがないことが少し残念になる。この攻撃的なモデルは、大きなバンプやコブを乗り越える際には、それほど流暢にそのショックをかわすことができないからだ。

しかし、トラック・モードは、V10プラスの真価が発揮される。よりシャープなステアリング・レスポンスと向上したボディ・コントロールを享受できるのだ。穏やかなアンダーステアを保ったまま高いグリップを保ち、また、その限界を超えてもリア・ホイールの滑りは非常にコントローラブルだ。また、効きの良いブレーキングによるサスペンション変化も少ない。

その挙動は、25年前のミド・エンジン・カーからは決して想像ができないものだ。ビギナーであってもコントロールしやすく、腕が上がっていくにつれ、その信頼感はますますもって強固になる。そういった意味では、スーパーカーのオーナーになるためのエントリー・モデルといっても良いだろう。フェラーリランボルギーニを手に入れる前に、是非とも乗っておかなければならない1台ともいえる。

■「買い」か?

あなたが最も扱いやすいR8を望むのであれば、30,000ポンド(380万円)をセーブできるV8モデルを買うことをおすすめする。ハイ・スピードでのブレーキング・スタビリティも優秀で、穏やかなコーナリング・レスポンスを持つからだ。しかし、V10プラスも、決してトリッキーなハンドリングを持つわけでなく、非常に扱いやすいクルマである。より高いスピードとシャープな動きを持つV10プラスは、V8では味わえない特別な何かを持っているのは事実だ。

(マット・ソーンダース)

アウディR8 V10プラス Sトロニック

価格 127,575ポンド(1,635万円)
最高速度 317km/h
0-100km/h加速 3.5秒
燃費 7.8km/l
CO2排出量 299g/km
乾燥重量 1595kg
エンジン V型10気筒5204cc
最高出力 542bhp/8000rpm
最大トルク 55.0kg-m/6500rpm
ギアボックス 7速デュアル・クラッチ

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