ルノー・クリオ・ルノースポーツ200ターボLux

公開 : 2013.03.16 17:49  更新 : 2017.05.29 19:22

■どんなクルマ?

途轍もないパワーと引き換えに、途方もない金額を要求するラ フェラーリマクラーレンP1を別とすれば、今年、最もその登場が待たれたクルマがこのルノー・クリオ・ルノースポーツ200ターボといっても過言ではないだろうか。

197bhpの1.6ℓターボ・エンジンを搭載し、0-100m/hを6.7秒で駆け抜ける俊足を発揮するこのクリオ・ルノースポーツは、ベーシック・フォームで18,995ポンド(274万円)、Luxトリムで19,995ポンド(288万円)という価格が付けられている。Luxトリムは、通常のエアコンに対してフルオート・エアコンにアップグレードされ、R-リンクマルチメディア・システムが7インチのタッチ・スクリーンと共に装備される。今回テストしたのもこのLuxトリムだ。

エンジンは、前モデルが2.0ℓノーマル・アスピレーションであったのに対して1.6ℓターボ・エンジンとなり、その燃費は15.6km/ℓ。CO2排出量は144g/kmとなる。

この新しいクリオ・ルノースポーツで一番のトピックは、ギアボックスがデュアル・クラッチ・オートマティックのみとなったことだ。「俺はマニュアル・ギアボックスしか認めない。デュアル・クラッチなんて軟弱なヤツのためのものだ。」と主張するドライバーには、クリオ・ルノースポーツをドライブすることができないのだ。

この大胆な判断は、ルノーにとってもプラスになるかマイナスになるかは不明。しかし、これにはルノーが、速いロード・モデルとF-1との関連性をより強くしようとする考えが見て取れる。これが正しかったかどうかは、時間が判断してくれることになるだろう。

■どんな感じ?

クリオ・ルノースポーツが、少なくともスペックシート上で約束したエンスージァスティックなクルマであることは確かだ。但し、クリオ・ルノースポーツは1台のクルマながら、3つの異なる味付けを味わうことのできるクルマでもある。

新しいRSドライブ・プログラムでノーマル・モードを選択すれば、スムーズで快適で滑らかな乗り心地の5ドアのファミリー・ハッチバックのような佇まいを見せる。

ギアレバーの横に位置する魔法のボタンR.S.ドライブのスイッチをオンにしスポーツ・モードにすると、それらは一転する。ステアリングは重くなり、ギアチェンジは活発になる。また、スロットル・レスポンスも敏感になり、トラクション・コントロールは少しばかりスリップを許すようになる。クリオ・ルノースポーツは、このスイッチで一気にホイールスピンするホット・ハッチに生まれ変わるのだ。

更に、レース・モードを選ぶと、すべてが一段階アップグレードされ、トラクション・コントロールはオフになり、シフトも完全なマニュアル・モードとなる。完全にレブ・リミットまでエンジンを回してやることも可能となるわけだ。このモードにすると、クリオ・ルノースポーツは、合法的なロードゴーイング・レース・モデルの域に達するのだ。

もし、更なるレスポンスが必要なのであれば、450ポンド(6.5万円)のオプションで設定されるカップ・シャシーを選べば良い。それは、18インチのホイールと、15%固いスプリングとダンパー、3mm低くなった車高、そしてよりきびきびとしたステアリング・ラックがセットになったものだ。

そのエンジンは日産ジュークNISMOに搭載されるものと基本的に同一だが、アイドリングの回転数は若干高いようだ。インストルメントの中の”sports”と”Renaultsport”の文字がグリーンに光る。スポーツ・モードを選んでスロットルを踏み込むと、ESCスポーツというメッセージの表示と共に強力なダッシュを見せる。ESCスポーツの点灯は、マクラーレンMP4-12Cのように、eデフが内側のホイールにブレーキを掛けアンダーステアを解消していることを意味する。

前モデルに対して新しいクリオ・ルノースポーツに欠けているものがあるとすれば、それは”熱さ”かもしれない。が、それとて、前モデルと較べてという話であって、冷静に判断をすれば充分にホットなモデルではある。

スポーツ・モードでのステアリング・レスポンスの良さは印象的で、反応も実に正確だ。油圧バンプストップを採用したサスペンションによる乗り心地も例外的に良い。

刺激的なサウンドを奏でるエグゾースト・ノートを発しての直線での加速は、充分に刺激的だ。

唯一不満があるとすれば、シフト・ダウンのタイミング。レース・モードを選択していたとしても、パドル・シフトを使ってもスローで、普通のオートマティックのようなイメージであった。

■「買い」か?

前モデルよりも、フレンドリーでソフトで実用性にも富み、すべてにおいて洗練されているという印象だ。その反面、荒々しさは減ってしまった。しかし、クリオ・ルノースポーツのコアとなるスポーツ性という魅力はより一層増したものとなった。その結果、それを求めるユーザーからは確実に支持されるであろう。

(スティーブ・サトクリフ)

ルノー・クリオ・ルノースポーツ200ターボLux

価格 19,995ポンド(288万円)
最高速度 230km/h
0-100km/h加速 6.7秒
燃費 15.6km/ℓ
CO2排出量 144g/km
乾燥重量 1204kg
エンジン 直列4気筒1618ccターボ
最高出力 197bhp/6000rpm
最大トルク 24.5kg-m/1750-5500rpm
ギアボックス 6速デュアル・クラッチ

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