ジープ・グランドチェロキー3.0V6CRDサミット

公開 : 2013.05.17 18:02  更新 : 2017.05.29 18:34

■どんなクルマ?

内外にわたる大きなデザイン変更と、パフォーマンスの向上、そして新しいテクノロジーが投入された最新のジープグランドチェロキーだ。また、今回からZF製の8速オートマティックがすべてのエンジン・ラインナップに採用されたのも大きなニュースだ。この新しいトランスミッションは、エミッションと燃費を向上させ、加速とギアシフトを改善する、とジープはコメントしている。有史以来、5速オートマティックを遂に捨てたことは大きい。

エンジンは、英国向けにはV6およびV8のガソリンは設定されず、3.0ℓのV6ティーゼル1モデルとなる。20台が限定販売された6.4ℓV8のグランドチェロキーSRTというスーパーモデルも用意されていたが、こちらは既に完売となっている。

このグランドチェロキーのギアシフトは、スポーティなパフォーマンスが必要な時はオフにすることができるエコ・モードを持つ。燃費は13.3km/ℓ、CO2排出量も200g/kmを切る。これは、ライバルとなる3.0ℓV6エンジンを搭載するフォルクスワーゲントゥアレグBMW X5とも対抗できる値だ。

英国では、5つのトリム・レベルが用意される。エントリー・レベルから、ラレード、リミテッド、リミテッド・プラス、オーバーランド、サミットの順。ラレード、リミテッド、オーバーランド、サミットはそれぞれそのエクステア・デザインで識別できるだけでなく、トップ・トリムにはより洗練された4WDシステムとエア・サスペンションが取り付けられる。リミテッド・プラスは、リミテッドの装備に加えて20インチ・ホイールと衛星ナビゲーショションが付く。おそらくこのリミテッド・プラスが英国では最も売れるモデルになろう。

価格は£37,000(578万円)から£50,000(780万円)の間で、右ハンドルは7月中旬までに英国のショールームに届く予定だ。

■どんな感じ?

グランドチェロキーのデザインは明らかにジープ・ファミリーのものではあるが、ヨーロピアン・テイストに合わせて、荒っぽい処理がなくなり、マイルドになったように感じる。また、そのエクステリアは、高品質な素材が使用され、マイルドな印象を受ける。

リア・シートも3人のパッセンジャーのために充分なスペースが確保されており、その後ろには782ℓのブート・スペースがある。

キャビンの中でも最も際立った装備は、新しいインフォーテーメント&マルチメディア・システムだ。これは8.4インチのタッチ・スクリーンを備えるもの。大きく大胆なグラフィックは、注意をそらすことなく操作が可能で、エアコンやシート・ヒーターといったものもこのタッチ・スクリーンを通して調整が可能だ。また、このスクリーンには様々な警告も表示される。

8速オートマティックのクオリティが明らかになるにはそう時間が掛からない。柔軟な性格の3.0ℓV6とのマッチングは非常に良い。そのセットアップは、スポーティなドライブよりもクルージング向きとも言える。エンジンは低回転から唸り声を上げるが、2.5トンのボディを引っ張るのだから、当然かもしれない。0-100km/hが6.2秒というタイムは、興奮さえるようなものではないが、快適な感じがする。グランドチェロキーが適切なギアを選んで安定したペースで走る様は、非常に冷静さが感じられるのだ。

確かに主要幹線道路で追い越しをかける際にはもう少しパワーを欲しくなるかもしれないが、それ以外はエンジンは非常に緻密だ。

われわれがテストしたのは、トップ・モデルのサミットで、20インチ・ホイールとエア・サスペンションが標準で装備されていた。落ち着いてよくクッションの効いた乗り心地と共に、コーナリングではボディ・ロールが良くコントロールされたサスペンションだ。

その軽いステアリングは、その大きなボディを感じさせないもので、街中では非常に扱いやすいが、その反面ワインディング・ロードでは路面のフィーリングをまったく伝えない。

グランドチェロキーは、オフロード走行用に、ロースピード・トランスファー・ボックスを装備している。テストルートのオフロード・コースでは、セレク・テライン・システムによる4WDのパフォーマンスの高さを感じられた。このセレク・テライン・システムは、オート・モードに加え、雪、砂、泥、岩といったモードが選べるもの。また、サスペンションは標準的な220mmの最低地上高に対し、エア・サスペンションは最大280mmまで5つのセットが可能というものだ。しかし、ジープも認めているように、この高級なSUVで危険なアドヴェンチャーにチャレンジするオーナーはほとんどいないと言ってよい。

■「買い」か?

8速オートマティックを得たことによって、グランドチェロキーは以前よりも遥かに考慮するに値するクルマとなった。デザイン、テクノロジー、エミッション、運転のしやすさ、快適性、室内の広さなども魅力的で、頑丈なクルージング・マシンになった。ドイツのSUVやランドローバー・ディスカバリーにも充分に対抗できるクルマだ。後は、その価格をどうとるかによるだけだ。

(マット・バート)

ジープ・グランドチェロキー3.0V6CRDサミット

価格 £48,000(750万円)
最高速度 201km/h
0-100km/h加速 8.2秒
燃費 13.3km/ℓ
CO2排出量 198g/km
乾燥重量 2403kg
エンジン V型6気筒2987ccターボ・ディーゼル
最高出力 247bhp/4000rpm
最大トルク 58.1kg-m/2000rpm
ギアボックス 8速オートマティック

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