ルノー・ツイージー・テクニック

公開 : 2012.03.30 13:25  更新 : 2017.05.29 19:23

■どんなクルマ?

ツイージーの存在を知った瞬間から、あなたはそれが欲しいと思うに違いない。

今年2012年の路上に、SF映画から飛び出してきたようなルックスのルノー・ツイージーが走っているその風景は、まさしく未来のモータリングだった。

とは言え、電気自動車が再生可能燃料問題に対する完全な答えであるかどうかはまだ不確実で、その未来は現時点では水晶玉に委ねるしかないのかもしれない。

しかし、ルノーが長い時間をかけて造り上げた2シーターのシティ・コミューターのファイナル・バージョンは、われわれの予想に完全に応えるクルマだった。それは、シティ・コミューターとしての機能だけでなく、運転していて刺激的で愉しいクルマだったのだ。

長さ2.33m、幅1.4mのボディの中央にドライバーが座り、パッセンジャーはその後ろ、そして、その下にリチウム・イオン電池が搭載されている。装備される電気モーターは17bhpのパワーだが、475kgしかないツイージーを62マイル(100km)、現実的には50から55マイル(80から90km)の範囲で走らせることを可能とする。

オートバイ・サイズのボディには、プセウド・マクファーソン・ストラットが前後に装着されている。そのサスペンション・チューニングはルノースポーツによって行われている。

■どんな感じ?

ツイージーがスリルに富んだドライブを披露することに驚きはない。そのドライブ・フィーリングはスクーターに似たものだが、安定性は4輪そのものであるし、ウェザープロテクションと安全性は2輪やスリーホイラーより遥かに優れている。

ステアリングは適度に重い。インテリアはかなり考えられているようで、ワンピースのシートは前後方向のみ調節可能だが、長距離ドライブであっても非常に快適だ。

ツイージーを手に入れるための価格は6,690ポンド(88万円)がベースで、われわれがテストした最高グレードのテクニックが7,400ポンド(97万円)。そしてバッテリーのリースが月々45ポンド(5,900円)掛かる。ドアは545ポンド(7.1万円)のオプションではあるが、ドアがないと外的要素に全てさらされることになるから是非とも欲しい装備だ。もちろんヒーターはなく、パッセンジャーは快適性からは無縁の世界となる。レザー・ジャケットとヘルメットまでは不要かもしれないが、英国ではその気候に対応した寒冷地用ギアが必要となろう。

その小さいサイズ故に、渋滞に並ぶクルマをスキップすることができる。きっとオートバイのライダーは、その面白い光景にほくそ笑んでいるに違いない。とにかく、その直接的なコントロールと圧倒的な目新しさを別としても、ツイージーのアーバン・コミューターとしての価値は十分だ。

また、そのランニング・コストの安さも特筆すべきで、必要なのは60マイル(96km)につき1ポンド(131円)でしかない。但し、残念なことにオートバイ用の駐車スペースに駐めることは法的には許されない。

その加速は、紙の上ではそれほど印象的ではないが、5.8kg-mのトルクは、実際に走らせてみると十二分なパワー・デリバリーを見せる。また、ブレーキも特筆に値する。4輪につけらえたディスク・ブレーキはアシストがなくそれなりのプレッシャーを必要とはするものの、街中では素晴らしい効きを示してくれた。

唯一、このツイージーに許されないところがあるならが、それは乗り心地だ。われわれはまだ英国の路上でテストはしていないが、比較的高い速度のスペインの路上で感じたのは、とにかく固いということ。それは、都市部に於いても固い乗り心地となるだろうと容易に予想できるものだった。これは、ボディ・コントールやスタビリティに影響することでもある。また、大きなショックに対して、それを吸収できていないということだ。道の悪い英国国内であれば、なおさら乗り心地は重要となるだろう。

■「買い」か?

コストの問題は、ツイージーにとって厄介な問題だ。その限られたレパートリーを考慮して、毎月の契約金額や車体料金を考ると、最終的には高くつくように見えてしまうのかもしれない。ましてや、ヒュンダイi10のようなコンベンショナルなシティカーと比較するのであれば。

従ってツイージーの市場というのは、標準的なシティカーが不要であったり、2台目、3台目のクルマということになる。ルノーがツイージーに注ぎ込んだ技術を評価し、且つ、そのサイズ、クリーン・エネルギーであること、ロンドン都市部への無料進入権、容易な駐車などの専門的な利益を考えるのであれば、その価格は逆に安く感じられることだろう。もちろん4輪のEVの多くは、ツイージーよりも遥かに高価であることも忘れてはならない。

ツイージーの存在は、あなたの人生を素晴らしいものに変えるかもしれない。このマニアックな電動コミューターは、明らかな魅力と惹きつけるだけの性能を持ち合わせている。もし、そう思えないのであれば、従来のシティカーを選択すれば良いだけのことだ。

(ヴィッキー・パロット)

ルノー・ツイージー・テクニック

価格 7,400ポンド(97万円)
最高速度 80km/h
0-45km/h加速 6.1秒
燃費 NA
Co2排出量 NA
乾燥重量 475kg
エンジン 電気モーター
最高出力 17bhp
最大トルク 5.8kg-m
ギアボックス なし

おすすめ記事

 
最新試乗記

試乗記の人気画像