レンジローバー L オートバイオグラフィーTDV8

公開 : 2014.01.20 23:00  更新 : 2017.05.29 19:20

■どんなクルマ?

ホイールベースが長くなったレンジ・ローバー、シンプルにそう考えて欲しい。こんなことを言ったら馬鹿げた話しに聞こえるが、5m級のSUVではいくぶん短いと考えるオーナーもいるのだ。とくに中国と米国では、標準モデルは後席のレッグルームが足りないとうことで、昨年後半に公開された全長が長い新型レンジ・ローバーは購入希望者が列を成しているのだ。こうしたマーケットでは富裕層のオーナーは後席に座ることが多く、両脚を心ゆくまで伸ばせないのはどうにも耐え難いのである。

そうした人たちの声に応えて、レンジ・ローバーのエンジニアはホイールベースを200mm伸ばしたのだ。その違いは外見からは伸長された後席ドアで判断できる。彼らは基本構造となるアルミニウム製モノコックにねじれ剛性の低下が生じないよう入念な強化を施した。その結果、後席空間は本当に広々としたものになり、現在のロールス・ロイスベントレーには見られなくなった堂々としたシート配置が実現し、ショートホイールベース・モデルに比べて二倍のリクライニングが可能となっている。当然ながらロング・ホイールベース・モデルを手に入れるには同グレードの標準モデルよりも£7,400(約100万円)前後の追加料金が必要となる。

英国では、TDV8(ディーゼル・モデル)、またはハイパワー仕様の5.0ℓスーパーチャージドV8にロング・ホイールベースが設定されるのみである。とはいえ、小排気量エンジンが税制面で優遇される地域では、3.0ℓV6ディーゼル・エンジン・モデルがこれに加わる。

■どんな感じ?

まず始めに、これまで賞賛されてきた標準モデル同様うまく均整が取れていて、ことによると力強さでは上回っている点に触れたい。そのことが大きな成果であるのは、ロング・ホイールベース化したモデルが均整を失うケースが非常に多く見られるためだ。ランド・ローバー社のデザイン・ディレクターであるジェリー・ マクガバンが明らかにしたように、二つのバージョンは同時に設計が進められたもので、どちらかの単なる改修版ではないのだという。

テストした結果、ロング仕様のTDV8は標準モデルに酷似している。そうは言うものの入念な比較をすればわずかに乗り味がフラットで、ホイールベースが伸びたために回転半径が少しだけ大きいのが分かるだろう。それから、リア・ガラスがL-モデルでは運転席から遠のくため、ルームミラー越しには小さく見えるようになった。

L-モデルの運転は、最新の全てのレンジ・ローバーで体験できるように、安心感のある穏やかなものになっている。走りは、落ち着いていて、スムーズで、力強さとしなやかさがあり、特にトルクの太さが印象的だ。パフォーマンスの点では、車重が80kg重いロング・モデルとショート・モデルとの間には違いは感じられなかった。燃料消費率も両モデル間に違いはない。

また、軽快感については大きく損なわれないものの、全長が長くなったために後退での入庫時にはショート・モデルよりも縁石に注意が必要となる。パーキング・センサーとサラウンドビュー・カメラが備わるのだが、英国の平均的な駐車場ではこのクルマはあまりに大き過ぎるのである。

■「買い」か?

なるほど、これは理にかなったモデルだ。このL-モデルの主なアピール・ポイントは後席の格別なレッグルームであり、しばしばエレガントなクルマを台無しにしてしまう間に合わせのロング・ホイールベース化は感じられない。懐具合に余裕があり、特上のリア・スペースをお望みの向きには、迷う理由は一つも見当たらないのだ。

(スティーブ・クロプリー)

レンジローバー L オートバイオグラフィーTDV8

価格 £102,100(1,744万円)
最高速度 217km/h
0-96km/h加速 6.6秒
燃費 11.5km/ℓ
CO2排出量 229g/km
乾燥重量 2488kg
エンジン V型8気筒4367ccターボ・ディーゼル
最高出力 339ps/3300rpm
最大トルク 71.3kg-m/1750-3000rpm
ギアボックス 8速オートマティック

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