レクサスCT200h バージョンL

公開 : 2014.02.26 21:03  更新 : 2017.05.29 19:24

今回のマイナーチェンジでは、レクサスのデザインキューである“スピンドルグリル”を採用したフロントフェイスの導入や、リヤバンパーを水平基調の意匠に変更し、視覚的な低重心化で踏ん張り感をもたらすなど、エクステリアに注目が集まりがちだ。レクサスでは、全体的にダークなトーンでまとめ、ヘッドライトより低く位置するスピンドルグリルを採用したことで、レクサスならではの “レゾリュートルック”(毅然とした表情)を醸し出していると説明するが、CT200hのドライビングフィールは、それを上回るほどに“レゾリュート”なのだ。

そう感じさせてくれるポイントは、ボディ剛性の向上に伴う総合的なNVH(ノイズ、振動、ハーシュネス)対策と、サスペンションの見直し、そしてCVTのチューニング変更にある。

フロントピラー根元やリヤホイールハウス、車体後部下回りには構造接着剤を使用。ハッチゲートのオープニング部のスポット溶接打点も20点増やしているという。さらにフロントのストラット左右と、リヤのサブフレーム上部には、パフォーマンスダンパーも追加。その効果はかなりのもので、実際にソリッドな走行フィーリングを、走り出してすぐに感じ取ることができる。これは室内の静粛性向上にも効果をもたらし、ハッチバック形状だということを忘れさせるほど、静かで快適な室内環境を実現していた。

また、ボディ剛性の向上に伴い、サスペンションも見直されている。コイルスプリングレートの最適化や、新型ショックアブソーバーバルブの採用、リヤスタビ径の変更などにより、アジリティと乗り心地を両立させたという。17インチホイール装着車では、硬すぎる印象も残るが、16インチホイール採用モデルでは、乗り心地の良さが光る。

こうしたライドフィールのアップグレードに大きく貢献しているのが、CVTのチューニングである。

パワーユニットは、これまでどおりプリウス譲りのハイブリッドシステムを搭載。最高出力99psの総排気量1797ccを持つ直4エンジンと、最高出力82psのモーター、それにCVTを組み合わせるという構成に変更はないが、CT200hは、走り出しからまるでパワーが2割も3割もアップしたような、別モノともいえる加速フィールをもたらす。

聞けば、ハードにまったく変更はないのだが、CVTのフィールを大きく改善すべく、チューニングを実施。加速時に、低いエンジン回転数からトルクが出るようなセッティングに変更しているのだという。

CVTの利点は、ご存知のように息継ぎのない滑らかな加速フィールと効率の良さにあるが、これまではエンジン回転数とそこから期待するスピード、つまり感覚と実際の速度にずれを感じるケースが少なくなかった。EVモードでカバーできる領域を超えた発進や加速時を考えれば、分かりやすい。ドライバーはより多くの加速を望むためアクセルを強く踏むが、その時勢いよく回るエンジンやサウンドと、加速フィールにギャップが生じる。欧州市場ではこれを “ラバーフィール”と評し、嫌っている。そこに、あたかもゴムが伸びきるようなイメージを持っているといえば、理解できるだろうか。

ともかく、新しいCT200hでは、そうしたCVTの持つマイナスイメージを、見事に払拭してみせた。エンジン回転数に合わせリニアに加速するフィーリングは、大げさに言えば変速ショックが皆無な出来の良いトルコンA/Tのようで、初めて新型のCT200hに触れる人にとっては、決してCVTとは悟られないきびきびした走りを感じさせてくれるのだ。ただし、重ねていうが、パワースペックも、ハードも一切変わっていない。

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