特別企画

2017.04.23

アストン マーティンの歴史をめぐる旅:DB6からDBXまで(前編)

[編集部より]

100年以上に渡り、英国自動車史に足跡を残してきたアストン マーティン。その歴史を思い、ロンドンの最初の工房からウェールズの最新工場までを数台の素晴らしいモデルで辿りました。

 

幸運にも、ヘニカー・ミューズの小さな白い家の住人たちは不在だった。まだ、朝の6時だ。できるだけ音を立てないよう、気は遣った。

しかし、世界最古のアストン マーティンを、サウス・ケンジントンでも特に家々が混み合う区画の、石畳の通りへ運び出し、撮影をしようというのに、騒ぎをまったく起こさないというのは、どだい無理な相談だった。

2階の窓を跳ね上げて、まるで古い映画のシーンのように、われわれを怒鳴りつけてくる住人がいなかったのは幸い、というわけだ。


そのクルマは、1915年型アストン マーティンA3。小さく、控えめなスタイリングのオープン・スポーツだが、今や控えめに見積もっても£20,000,000(28億円)の価値がある。アストン マーティン・ヘリテイジ・トラスト所有の一台で、アストン マーティンのブランド名を持つ3番目のクルマそのものだ。

当時、この静かな馬小屋由来の建物は、アストン マーティンの前身である自動車修理会社のバムフォード&マーティンが初めて工房を構えた地である。朝の薄明かりの中、われわれは「聖地」に立ち、数年前にアストン マーティン・オーナーズクラブ(AMOC)が設置した銘板を眺めていた。


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