オークションの読み方 英国の底力「ボナムス・グッドウッド・セール」

最終更新日:2017.07.08

オークションの “読み方” を学べる「オークション・リザルト」 今回は、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード併催のボナムス・オークションの結果から、本場におけるクルマ趣味の深さを読み解きましょう。

3ページで分かる「ボナムス・グッドウッド・セール」の “読み方”

●2017.06.30 ボナムス・グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード・セール
世界中からギャラリーが集まるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(GFOS)でのオークションは、一昔前のオークションを思わせる趣味の達人好みといえるマニアックなクルマが上位を占めた。

text: Kazuhide Ueno(上野和秀)

 

グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードとは?

今や世界屈指のクルマイベントの座を獲得したグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(GFOS)。その歴史は新しく1993年に始まり、私有地内のヒルクライムコースを古今東西のクルマ達が駆け抜けることから、レーシングマシンのガーデンパーティとも称される。20世紀初頭のモデルから最新のF1マシンまでが目の前を走ることから人気を集め、1997年からはメーカーとのタイアップが始まる。以来年を追うごとに成長を続け、その影響力の高さから近年では各メーカーの新型車お披露目の場としても使われるほど。ちなみに2016年のGFOSには3日間の会期中に英国を始め、ヨーロッパ各国やアメリカ、日本などから20万人越えのギャラリーが集まった。

GFOSならではの出品車

これだけの規模となったGFOSだけに、コレクター向けのオークションが開かれるのは当然で、地元イギリスのボナムスが担当している。今回は88台が用意されたが、そのラインナップはイベントの性格に合わせて一昔前のオークションを思わせる渋いクルマ達が多数を占めた。近年主流のフェラーリに代表されるスーパースポーツは僅かで、ヴィンテージ期から’50〜60年代の英国車が主役となっていたのである。

ポイント1 いつもと違ったモデルが上位に

結果を見るとこのオークションの傾向がハッキリと現れていた。落札額のトップ6を記すと以下のようになる。

1957年ポルシェ356Aカレラ・スピードスター/1億3523万円
1962年メルセデス・ベンツ300SLロードスター ハードトップ付/1億3194万円
1973年ポルシェ911カレラRSライトウェイト/1億2206万円
1931年ベントレー8ℓ セダンカ・ドヴィル/11465万円
1914年ロールス・ロイス40/50HPシルバーゴースト・オープン・ツアラー/8090万円
1972年フェラーリ365GTB/4デイトナ/7925万円

と、いつもとは全く違った顔ぶれとなった。デイトナと73カレラこそオークション上位の常連だが、ヴィンテージやベテラン期のモデルが入るところに英国の懐の深さが分かろう。

ポイント2 ポルシェ356Aカレラ・スピードスターが新記録を樹立

最高落札額を記録したポルシェ356Aカレラ・スピードスターは、4カムのカレラでスピードスター、そしてイギリスのオークションでの右ハンドルという3要素が重なり、新記録となる額をマークした。2番手のメルセデス・ベンツ300SLロードスターは安定した人気を保ち、バブルが弾けても大きく変動していない1台だ。ポルシェ911カレラRSライトウェイトも新記録をマーク。こちらは17台のみ作られた右ハンドル仕様で、英国のオークションだけに競り上がったといえる。
 

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