アウディRS3スポーツバックが公開

公開 : 2015.03.04 22:14  更新 : 2017.06.01 02:10

メルセデスA45 AMGを凌駕すべく、インゴルシュタット発のRS3スポーツバックの開発が進行中だ。心臓部となる2.5ℓ 5気筒ガソリン・エンジンはチューニングを受け、最高出力は367psを発揮。

0-100km/hタイムはスーパーカー並みの4.3秒をマークする。なお英国での販売は2015年の夏を予定している。先代の掲げた£39,950(746万円)というプライスタグからは大きな変化はない見込みだ。

熱間成形された構造用鋼を多用する新しいMQBプラットフォームを採用したことがもっとも注目すべき点で、その他にもボンネットなどにアルミニウム素材を使用することにより、先代よりも55kgの軽量化に成功している。

デビュー直後は5ドア・ハッチバックのみのラインナップとなる予定ではあるが、その後にはCLA45 AMGに対応すべくサルーン版の追加もアウディは否定していない。

つや消しアルミ風フレームとグロス・ブラックのメッシュを組み合わせる独特な意匠のフロント・グリル、大型のエアダクトやエアロなど、ノーマルのA3との外観上の識別点は多い。

これに加えて、強く張り出すフロント・フェンダーやマット・ブラックのドアミラー・カバー、大型化したサイド・スポイラーなど力強さをイメージさせるファクターもたっぷりと用意されている。

また後部を見渡せば、まずトランク・スポイラーが目を引き、その下方にはRS3専用バンパーがおさまる。このバンパーにはディフューザーが組み付けられており、大型の楕円形テールパイプの周辺にはつや消しのアルミ・パーツが飾りを加える。

横置きされる先述の2.5ℓ5気筒ガソリン・ターボ・ユニット(EA855型)は32psの出力向上のほかに、ユーロ6のレギュレーションに対応できるよう数々のディテールが変更を受けている。またターボチャージャーそのものも先代とは別のものに変えられ、ブースト圧は1.3barまで高められている。

よってリッターあたり148psを発揮することに成功し、現行のS3のリッターあたり150psという値まであと一歩のところまできた。(RSの方がSより劣っているの?とお思いの向きもあるかもしれないが、あくまで2.5ℓのRS3のトータル出力は367ps、2.0ℓのS3は300psなのでご心配なく)。

また最大トルクは先代より1.5kg-mの増強を果たし、47.2kg-m/1625-5550rpmに到達した。燃料消費率は12.3km/ℓ、CO2排出量189g/kmとなる。

主だったライバルになるであろうメルセデス・ベンツA45 AMGを引き合いに出してみると、2.0ℓ 4気筒ターボ・ユニットの最高出力は360ps、最大トルクは45.9kg-mとなる。

最高出力/最大トルクともにRS3に劣っているものの、すでにAMGはフェイスリフト版のA45にさらなる出力アップを予定しているとのことで、ともすればRS3の ’クラスでもっともパワフル’ である時期は短命に終わることも予想される。

RS3に組み合わされるギアボックスは7速S-トロニック・デュアル-クラッチATが標準となり、マニュアル操作ももちろん可能。エンジン同様に改良が加えられ、アウディいわく ”オイルを利用することにより、さらに変速時間を短縮する工夫をした” のだそう。

ドライブラインの設定をダイナミック・モードにすると、ダウンシフト時に自動的にギアボックスがダブル-クラッチを行ってくれることにより、さらなるスムーズさが期待できる。

S-トロニック・ギアボックスは、リア・アクスル付近に搭載される電気油圧式マルチ-プレート・クラッチ4WDシステムに結びつく。

理想的な重量配分を念頭に搭載位置を決定し、プレッシャー・アキュムレーターを廃したことにより先代より1.4kg軽くすることに成功している。

前後アクスルへの出力比はコンディションに合わせて変更し、リアは全出力のうちの50%から100%の配分となる。

電気制御によってコントロールされるトルク-ベクトリング機構も備わっており、これによってハード・コーナリング時に、これまで以上に自然な挙動がもたらされる。

またこのモデルからは、フラップの開閉によって排気音の音量を2段階に調整できるようになった。
公式に発表される乾燥重量は先代より55kgも軽い1520kg。パワーも先述のとおり増強されていることから出力重量比は28ps増の241ps/トンを達成した。

0-100km/hタイムは先代のRSスポーツバックやA45 AMGよりも0.3秒速い4.3秒。最高速度は250km/hに制限されているが、280km/hまで引き上げることのできるオプションも用意される。

強化したパフォーマンスを制するのは、フロントが370mmのスチール製ドリルド・ローター/大型8ポット・キャリパー、リアが310mmのスチール製ローター/シングル-ポット・キャリパーの組み合わせ。

このクラスでは初となる370mmのカーボン-セラミック製フロント・ディスクもオプションにて選択できる。
サスペンションはS3のマクファーソン・ストラット(フロント)、マルチ-リンク(リア)を大きく改良したものを使用する。

車高は低められており、フロントにはアルミ製のピボット・ベアリング等RS3独自のコンポーネントが組み合わされる。トラックもまた広げられており、フロントは+24mmの1559mm、リアは+4mmの1515mmとなる。

タイヤ・サイズは前後ともに235/35 19インチ、組み合わされるホイールは標準で5スポーク・アロイだ。さらに追加資金を投じればマット・チタニウムかハイ・グロス・ブラックの19インチ・アロイを選ぶこともでき、こちらのサイズはフロントが255/30、リアは235/35となる。

オプションにてマグネティック・ライド・システムの装着ができ、これによってダンピングを制御することが可能。標準装備のアウディ・ドライブ・セレクト・システムから、ダンピングの他にもスロットル、ステアリングのキャラクターをコンフォート/オートマティック/ダイナミック/インディビジュアルから変更する。

インテリアは価格相応の高級素材が数多に用いられ、レザー・スポーツ・シート、レザーとアルカンターラのフラット-ボトム・マルチ-ファンクション・ステアリング、レザーとアルミのギア・レバー、インストルメント・グラフィック、ステンレス製ペダル、アルカンターラ・ドア・トリム・エレメントなどがその代表だ。

オプションにてRSバケット・シートも選択可能。サイドエアバッグが一体化される一方、シェルはカーボンファイバー製になることで標準のスポーツ・シートよりも7kg軽いのだそう。

ニーパッドやエア・ベント、フロア・マット、シートベルトが赤色になるインテリア・デザイン・パッケージも選択可能だ。

ヨーロッパの他のメーカー同様、クワトロGmbHもニュルブルクリンクで車両テストを行っている。筆者が訪ねた際はシャシーと耐久性のテストをプロ・レーシングドライバーが行っている最中だった。

気になる乗り心地はダイナミック・モードに入れない限りは快適なもの。ただしダイナミック・モード時はレースカーさながらに引き締まっている。

今年の始めにフランシスカス・ ファン・ミール氏から責任者を交代したハインツ ・ホラーヴェガー氏は、ソファ・カーを好むため、快適性をきちんと確保した仕立てにしているのだそうだ。

スロットル操作による微調整ができるのは嬉しいポイントで、後輪が旋回姿勢にうつった時にはリアがジリジリと流れ始め、思わずにやりとしてしまう。

またアンダーステアは強く抑えられている印象で、”これまでのTTやRS3は氷の上でしか滑らせられませんでしたが、今回のRS3ならばウエット路面でもドリフトさせられます” と、元DTMドライバーで現在はFIA GTシリーズで腕を鳴らすフランク・スティップラー氏が誇らしげに語ってくれた。

ESPはオール・オン、オール・オフとその中間の3モードが用意され、左足ブレーキングを好むドライバーのことを考慮して、制動時にはカット-インすることはない。

アンダーステアは常にわれわれを悩ませてきたが、今回のRS3はとても期待できそう。たった今からフル・テストが楽しみでならない。

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