エミッション・スキャンダル、VWからのステートメント日本語版

公開 : 2015.09.25 22:50  更新 : 2017.06.01 02:04

昨日夜に、日本のフォルクスワーゲンのインポーターであるフォルクスワーゲン グループ ジャパンより今回の一連のエミッション・スキャンダルに対してフォルクスワーゲンから出されたステートメントの日本語訳が配信された。以下に順を追って掲載する。

フォルクスワーゲン AG 取締役会会長、Prof. Dr. マルティン ヴィンターコルンのステートメント

ウォルフスブルグ、2015年9月20日 - 米国環境保護庁 (EPA) とカリフォルニア州大気資源局(CARB)は、フォルクスワーゲン グループのディーゼル車をテスト中に、それらがアメリカの環境関連法規が定めている基準に違反する操作が行われたことを確認したと明らかにした。

フォルクスワーゲン AG 取締役会は、これらの結果を非常に真摯に受け止めています。私たちが、お客様ならびに多くの皆様の信頼を裏切ったことに対して、私は心よりお詫びを申し上げます。私たちは、透明性と迅速性をもって、明確に、そしてオープンに、本件に関する事実を完全に解明するため、関係機関に対して全面的に協力いたします。フォルクスワーゲンはこの問題について、外部調査を依頼しました。

フォルクスワーゲンは、社内規則あるいは法を犯すような、いかなる違反についても容認することはありません。

お客様や多くの皆様の信頼こそが私たちの最も大切な財産であり続けます。フォルクスワーゲンは、多くの方々が我々にお寄せいただいている信頼を完全に取り戻すために全力を尽くし、また、本件に起因する損失を払拭するために必要となるあらゆることを実行いたします。このことは、私、そして全取締役にとり、最優先で取り組む事案であります。

フォルクスワーゲン AG によるステートメント

ウォルフスブルグ、2015年9月22日 ー フォルクスワーゲンは、ディーゼルエンジンに搭載されている特定のソフトウェアによる問題の解明に全力を挙げて取り組んでいます。 現在 EU 域内で販売されているユーロ 6 排ガス規制に対応したフォルクスワーゲン グループの新型車両については、法律と環境基準に適合しています。これらの車両について、今回問題となっているソフトウェアは搭載されておらず、ハンドリングや燃料消費、排出ガスについて影響はありません。

フォルクスワーゲン社内のさらなる調査により、問題のエンジンマネージメントソフトウェアが、グループのほかのディーゼル車にも搭載されていることが分かりました。これらのクルマの大半は、このソフトウェアによる影響は生じません。問題が発生するのは、EA189 タイプのディーゼルエンジンにおいてであり、これが全世界で約 1100 万台の車両に搭載されています。 エンジン ベンチテストと実際の走行における排出ガス量の顕著な乖離は、このエンジンタイプにおいてのみ確認されました。フォルクスワーゲンは、この乖離をなくすための技術的な解決に現在全力で取り組んでおり、関連当局およびドイツ連邦自動車局(KBA)と密接に連絡を取り合っています。

お客様の信頼を取り戻し、必要な対応やサービスを行う費用として、フォルクスワーゲンは、本会計年度の第3四半期の損益計算書において、約65億ユーロの引き当てを行う予定です。現在の調査の進行状況により、この額は見直される可能性があります。

フォルクスワーゲン グループの 2015 年の利益目標も、これに沿って修正される予定です。フォルクスワーゲンは、いかなる法律違反も許容することはありません。お客様に損害を与えることを防ぎ、失われた信頼を取り戻すことが取締役会の最優先課題であることは、これまでも、これからも変わりません。私たちは、この調査に新たな進展があり次第、公表して参ります。

フォルクスワーゲン AG 取締役会会長、Prof. Dr. マルティン ヴィンターコルンのビデオ ステートメント

ウォルフスブルク、2015年9月22日 - 「当社グループのディーゼル エンジンで発見された問題については、フォルクスワーゲンの方針にすべて反しています。現時点では、すべての質問にお答えすることはできませんが、我々は、何が起こったのかを正確に知るために、鋭意、原因究明に着手しています。そのために、可能な限り迅速かつ徹底的に、透明性を持って、すべてを俎上にあげています。そして我々は、関連する政府機関や当局と緊密に協力し続けています。私たちは、お客様、従業員、そして、世の中に対して、迅速かつ完全な解明を最優先で実施しなければなりません。

データ操作とフォルクスワーゲン、それは決して再発させてはなりません。

世界中の何百万人もの方々が、私たちのブランド、私たちのクルマ、そして、私たちの技術を信頼しています。私は、この信頼を裏切ったことに深くお詫びを申し上げます。私は、私たちのお客様と当局、そして世間の皆様に対して、この不正行為について正式に謝罪したいと思います。我々は、この状況を脱却するために必要なことはすべて行います。皆様の信頼を取り戻すために必要なことを行ってまいります。

当社のグループでは 60万人以上が、私たちのお客様のために最高のクルマを製造しています。私はすべての従業員の皆様が、毎日、どれほどの献身と誠意をもって就労されているかをよく理解しています。それゆえ、わずかな人数によるミスにより、 60万人もの真面目な従業員の皆様が、一様に疑われることは、正しいことではありません。私たちのチームは、そのようなものではありません。

私たちは底辺にいます。我々が前進するように、信頼を求めていくのが理由です。私たちは、必要となる技術的解決策に懸命に取り組んでいます。そして私たちは、お客様や従業員への影響を回避するために、できる限りのことを行います。みなさんに私から一言お送りします。私たちは、最大限の開示性と透明性でこのすべてを行います。

Prof. Dr. ヴィンターコルン ステートメント

ウォルフスブルグ、2015年9月23日 ー 「私は、この数日間の出来事にショックを受けています。何よりフォルクスワーゲン グループ内で、これほどの規模の不正が可能であったことに強い衝撃を受けています。

私は CEO として、ディーゼルエンジンに見つかったこの不正の責任を受け入れ、監査役会に、フォルクスワーゲン グループのCEOとしての職を辞することへの同意を求めました。 私自身が不正に関与した認識はありませんが、会社の利益を考えて、私はこの決断をします。

フォルクスワーゲンは、新たなスタートを切る必要があります。それは人事面についてもです。私は自身の辞任により、この新たなスタートの道筋をつけます。

私はいつもこの会社のため、特に、お客様と従業員のためにという信念で働いてきました。フォルクスワーゲンは今までも、現在も、そしてこれからも、常に私の人生そのものです。

問題の解明および透明化に向けて、一連の措置が講じられなければなりません。これが信頼回復のための唯一の手段です。

私は、フォルクスワーゲン グループとそのチームが、この重大な危機を克服すると確信しています。」

フォルクスワーゲン AG 監査役会の常任委員会によるステートメント

ウォルフスブルグ、2015年9月23日 ー 9月23日(水)に召集された会議で、フォルクスワーゲンAG監査役会の常任委員会は、フォルクスワーゲン グループのディーゼルエンジンの排ガス量データの操作について詳しく議論し、下記の結論に達しました。

1. 当委員会として今回の出来事を極めて重大なことと受け止めています。当委員会はそれによって発生した経済的損害のみならず、世界中で多くのお客様にお寄せいただいた信頼を失ったことも認識しています。

2. 当委員会の見解は、今回の事案においては信念を持って解明に取り組み、誤りは正されるべきであるということで一致しています。同時に、当委員会は信頼できる再出発を確かなものとするために必要な確固たる措置を取ることを決意しています。

3. 当委員会は、取締役会会長ヴィンターコルンが、自らの退任と会社との契約の解消を申し出たことに敬意を表します。当委員会はヴィンターコルンが今回の排ガス量データの操作について知らなかったものと認識しています。当委員会は、彼が、それにもかかわらず責任を取り、そうすることで社内外に対し強いメッセージを発信しようとする意志を尊重します。ヴィンターコルンはフォルクスワーゲンに多大な貢献をしてきました。グローバル企業としてのフォルクスワーゲンの成長は、ヴィンターコルンと密接につながっています。当委員会はヴィンターコルンの数十年に亘る多大な貢献と、そしてこの困難な状況において責任を取る意思に謝意を表します。

4. 後任人事案は、金曜日に予定されている監査役会の会議において提出される予定です。

5. 当委員会は、ここ数日のうちに新たな人事的な動きがあると見込んでいます。社内調査は、引き続き急ピッチで進められています。今回の出来事に関わり、フォルクスワーゲンに甚大な損失を与えた関係者を、徹底して追及します。

6. 当委員会は、会社としてブラウンシュヴァイクにある検察当局に告発状を提出することを決定しました。今回の不正は刑事手続に相当する可能性もあると見ています。フォルクスワーゲンは検察当局の調べに全面的に協力します。

7. 当委員会は、フォルクスワーゲン AG の監査役会に対し、さらなる解明を続け、必要な対策を準備するための特別委員会の発足を提案します。特別委員会は第三者によるコンサルティングを受けます。詳細は金曜日の監査役会会議で決定される予定です。

8. 当委員会は、今回生じた信頼上の危機を乗り切ることは、高度の一貫性と徹底性を必要とする長期的な課題になると認識しています。

9. 当委員会は、従業員及び取締役会と共に、今回の課題に取り組みます。フォルクスワーゲンは素晴らしい会社であり、それは数十万人の努力によるものです。我々は、この会社があらゆる面において、お客様からの信頼を取り戻すことこそが、我々の責務だと考えています。

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