アストン・マーティン、リミテッド・エディション2モデルを日本初お披露目

2016.08.03

アストン・マーティンは、世界中から注目されているリミテッド・エディションの2モデル、ヴァンキッシュ・ザガートとヴァンテージGT8を東京で公開した。

ヴァンキッシュ・ザガート

2016年5月にコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステで発表されたヴァンキッシュ・ザガート・コンセプト・バージョンは、世界中のファンからの要望に応え99台限定で生産されることになった。これらは既に完売となっており、日本には2台が導入されるという。

アストン・マーティンとイタリアの老舗カロッツェリアであるザガートとのコラボレーションは1960年に発表されたレーシングGTモデルのDB4 GTザガートから始まり、1986年にV8ヴァンテージ・ザガート、2002年にはDB7ヴァンテージ・ザガート、そして2011年にはV12ヴァンテージ・ザガートと、両社は節目ごとに手を結んできた。

今回披露されたヴァンキッシュ・ザガートは、アストン・マーティンが本質的に備えているパフォーマンスとクオリティを基に、ザガートならではのデザイン・ランゲージを巧みに融合させたスタイリングが特徴だ。ザガート伝統の「ダブルバブル・ルーフ」を現代的解釈で取り入れると共に、彫刻的なリアエンドの造形は白眉と言える部分だ。一方でDB11と同様のサイド・ストレーキや、One-77同様のデザインのサイドミラーなど、アストン・マーティン・デザインの集大成ともいえる構成を備える。

仔細にディテールを見てゆくとラジエター・グリルは「Z」の文字をモチーフとしたもので、シート表皮や天井、ドアインナー・トリムにも「Z」の文字とキルティングがあしらわれている。インテリアではこのほかヘリンボーン織のカーボンファイバーとダーク・ブロンズにアルマイト加工されたベンチレーターなどのトリムが特別なモデルであることを物語る。

ヴァンキッシュ・ザガートのボディワークは、すべてがカーボンファイバーで製作され、大きな1ピース・パネルを使うことによって、ボディパネルの継ぎ目に現れるスプリット・ラインを大幅に削減して、流麗かつダイナミックなデザインを実現しているのが特徴だ。またボディの下部を取り囲むようにカーボンファイバー製のフロントリップとサイドシル、デフューザーと一体となったリア・スカートを配し、より存在感を高めている。

もちろんパワートレインもザガートの名に相応しく手が加えられ、6ℓV12ユニットはヴァンキッシュV12に較べ24psアップの600psを発揮し、0-100km/h加速は0.3秒短縮した3.5秒でこなすという。組み合わせられるギアボックスはパドルシフトのタッチトロニックが備わる。

前述のように99台が限定生産されすべて完売となっており、日本には2台がデリバリーされるという。ちなみに車両本体価格は85,100,000円となる。


ヴァンテージGT8


究極のGTを目指したヴァンキッシュ・ザガートに対し、ファクトリービルドのロードゴーイング・レーサーとして送り出されたのがヴァンテージGT8だ。WECのGTカテゴリーを始めさまざまなレースで闘うV8ヴァンテージGTEを原点とするドライビング・エクスペリエンスを突き詰めたモデルである。

V8ヴァンテージ史上最軽量かつ最強のモデルとなるヴァンテージGT8は、レース直系の空力テクノロジーを応用したカーボンファイバー製のフロント・スプリッターを始め、サイドシル、リア・ディフューザー、そして別体型リア・ウイングにより、高い空力性能を実現すると共に、強烈なアピアランスも実現している。足回りもサーキット走行を想定してチューンされており、8気筒エンジンによるノーズの軽さとも相まって極めてシャープな俊敏性を実現したという。

シャープな操縦性を実現するために軽量化が最大のテーマとされ、カーボンファイバー製のルーフパネル、ドアパネル、手動スポーツシート、ポリカーボネート製のリア・ウインドウ/リア・サイド・ウインドウに加え、バッテリーをリチウムイオン・タイプに変更。これらの積み重ねによりV8ヴァンテージに較べ100kg減となる歴代最軽量となる1510kgを実現した。

ノーズの限りなく後方に搭載された4.7ℓV8エンジンは、ベースモデルの420psから446psまで高められ、トランスミッションは6段マニュアルまたはパドルシフトの7段スポーツシフトIIを選ぶことができる。

こうして見てゆくと硬派のためのモデルで、快適装備は備わらないように思えるが、そこは現代のモデル。エアコンディショナー、160Wオーディオ・システム、AMi IIIインフォティメント・システムなど、プレミアム・ロードゴーイングGTには欠かせぬ装備は標準で備わるのでご安心を。

アストンマーティン・アジア・パシフィック社長のパトリック・ニルソンは発表会の席で、「103年に及ぶアストン・マーティンの歴史の中で、モータースポーツは大きな役割を果たしてきました。ヴァンテージGT8は、究極のロードカーを製作するためにル・マン・レーシング・プログラムのテクノロジーを結集して製作したモデルです。コレクターの方々に加えて、真のドライビング・エンスージアストに向けたこのモデルは、ワールド・ローンチの時点で “完売” したことが正式に発表されています」と語った。

ヴァンテージGT8は、全世界150台のみが限定製作される。日本にはそのうち5台が導入される予定で、価格は6段マニュアルが27,700,000円、7段スポーツシフトIIは28,272,400円と発表された。

text & photo: Kazuhide Ueno(上野和秀)


▶ 海外初試乗 / アストン マーティン・ヴァンテージGT8

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