ミニ・クーパーS

公開 : 2014.05.26 17:47  更新 : 2017.05.29 19:14

初代ニュー・ミニ(R50系)のスタイリングを担当したフランク・ステフェンソンは素晴らしい仕事をしたと思う。古典中の古典となった1959年生まれの傑作デザインを21世紀に、しかもミニという名なのに2割もサイズを膨らませ、それでいて元祖と共通の印象を与えねばならない。この難しいタスクを彼は見事に成し遂げた。その解法のキーワードはデフォルメであった。ウエストラインを明瞭に後ろ上がりのウェッジにして、屋根は後ろ下がりにする。元祖は真ん丸だったヘッドライトを上縁が後ろに引っ張られたような楕円形にした。これで、こちらに走ってくるところをワイドレンズで見たような戯画的なダイナミズムが生まれた。元祖のスタティックな立体構築とは正反対のその躍動感によって、個々の造形要素はそっくり踏襲しつつ、肥大感を受けないような形にデザインしてみせたのだ。

傑出していたその方法論を踏襲しつつ、端的な視覚上では分かりにくいヘッドライトの取り付け方法や鋼板プレス加工法など生産技術の面でコストダウンを図ったのが2代目(R56系)だった。そして3代目(F56系)の登場である。

単体で見れば、ほとんど変わってないように見える3代目のスタイリングだが、先代や先々代と比べると違いが浮かび上がる。まずフロント隔壁が高くなっている。車体ウェストラインの始点が高いから、後ろ上がりの傾斜は控えめになる。対するルーフの下反角も緩くなった。呼応してボンネットも真っ直ぐ前に延びて、鼻先でくるりと下がる形状になった。結果として3代目は丸くぽってりした印象となっている。絶対的な寸法も増した(全長で+145mm)が、それ以上に重厚に見えるのである。その視覚的な重さを案じたのか、側面下部に抉りが入った。ニュー・ミニ初のコンケーブ(凹)造形である。

初代ではクライスラーと共同開発の“トリテック”直4、2代目ではPSAと共同の“プリンス”直4とエンジンを換えてきたニュー・ミニだが、3代目でも変更されてBMW専用開発ユニットとなった。1.5ℓ直3ターボ(B38型)と2.0ℓ直4ターボ(B48型)で始まったそれは、将来的には直6にまで発展するとされるモジュラー設計で、日本にも直3と直4の両方が導入された。燃費という点での目玉は136psの直3だが、生憎と試乗車は192psの直4だった。

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