ミニ・クラブマン

公開 : 2015.09.25 21:40

第2世代のミニ・クラブマンが日本でも発売となった。このクラブマンは2014年のジュネーブ・モーターショーで公開されたコンセプト・モデルを具現化したモデルでもある。最も初代と大きく異なるのは、1+2という変則的なドアから、コンベンショナルなフロント・ヒンジのドアが4枚与えられることだろう。

もともとクラブマンのルーツは、1959年に登場したオリジナル・ミニの、デビュー翌年である1960年に加えられたモーリス・ミニ・トラベラー、オースチン・セブン・カントリーマンに端を発する。このトラベラー/カントリーマンは、テール・セクションを延長し、リアに観音式のドアを与えたエステート・モデルである。つまり、オリジナル・ミニは、登場1年後には早くもエステート・モデルがラインアップに加えられていたことになる。このトラベラー/カントリーマンは、Mk-IIまで続き、そして1969年、ミニMk-IIIと共にデビューしたのが現在もその車名が使われているミニ・クラブマンだ。このクラブマンは、それまでのミニよりも高級な層を狙ったモデルで、フラットで幅の広いラジエーター・グリルを持つフロント・フェイスが特徴のモデルだった。そして、このクラブマンのエステート・モデルがクラブマン・エステートとなる。オジリナル・ミニ・シリーズのサルーン・モデルの名声は言うまでもないが、実はこのトラベラー/カントリーマン、そしてクラブマン・エステートも、合計で約40万台をセールスした隠れたヒット商品であったのだ。

さて、その後、ミニがBMW傘下に収まって後、新世代のミニの第2世代のバリエーションとして2007年に加えられたのが新生ミニ・クラブマンである。このクラブマンの特徴は、テール・セクションを伸ばしたエステート・ボディもさることならが、運転席側が1枚ドア、助手席側が2枚ドアという変速的なドア・レイアウトを持っていたことにある。また、オリジナル・ミニのエステートをオマージュし、観音開きドアが与えられたハッチ・ゲートも大きな特徴だった。

初代のミニ・クラブマンのデビューが2007年であるから、今回の第2世代までがリリースされるまでは8年間の期間を要したことになる。これは、現代のクルマとしては長いモデル・サイクルに入るが、ミニ・ファンを長らく待たせただけの内容となってのリリースだ。本国での発表は6月の末であったが、ワールド・プレミアはこの9月中旬に行なわれたフランクフルト・モーターショーが最初。しかも英国での発売も10月からというから、日本市場にはほぼ時を同じくして投入されることになる。

エクステリア


第2世代のミニ・クラブマンの大きな特徴は、初代クラブマンに較べて大きくなったボディだ。サイズは、全長×全幅×全高が4270×1800×1470mm、ホイールベースが2670mm(運輸省届出値)。初代が3980×1685×1445mmだから、全長で290mm、全幅で115mmほど大きい数字だ。このサイズはミニ5ドアと比べても全長で270mm、全幅で90mmほど大きいものとなる。もちろんそのサイズ・アップがキャビン・スペースおよびブート・スペースの向上のために寄与していることはいうまでもない。特に、ブートスペースは標準で360ℓ、リア・シートを倒すと1250ℓの容量が確保される。

そのハッチ・ゲートの存在からBMWではこのボディを5ドアと呼ばず6ドアと呼んでいるが、その基本的なデザイン・ボキャブラリーは伝統的なミニそのもの。クロームメッキをフレームに持つヘッドランプ、六角形のシングル・フレームのフロント・グリル、クラムシェル・ボンネットなどはミニのアイデンティティを表現している。

フロントのホイールアーチの後ろにはエアを抜くためのベントが開けられているが、これは今回はじめて搭載される空気調節設備だ。エアを、エア・インレット下部の外側に配置された細い垂直の開口部から構成されるエア・カーテンから空気を取り入れ、フロント・ホイール・アーチに組み込まれたサイドパネル後方にあるエア・ブリーザーから吐き出すというもの。これによって空気抵抗の低減が図られているという。

そして再三記しているように、ドアはすべてフロント・ヒンジとなり、先代よりもリア・シートへのエントリーは格段に向上した。

リアのハッチは中央で分割して開くいわゆる観音開き(スプリット・ドア)が引き続き採用されている。そのため、他のミニ・ハッチバック・モデルのような垂直型のテールランプは、水平なタイプへと変更されている。これが、視覚的にもクラブマンの特徴につながっている。

パワートレイン

日本市場に投入されるモデルはクラブマン・クーパーとクラブマン・クーパーSの2モデル。初代のクラブマンは、クーパー、クーパーS共に1.6ℓターボ・エンジンを搭載し、チューニングが異なるものが与えられていたが、今回の第2世代のクラブマンでは、全く異なるエンジン、具体的にはクーパーには1.5ℓ3気筒ターボが、クーパーSには2.0ℓ4気筒ターボが搭載されることになる。

クーパーSに搭載されるのは、直列4気筒1988ccツインパワー・ターボで、ダイレクト・インジェクション、バルブトロニック式の可変バルブ制御、吸排気カムシャフト位相可変装置(ダブルVONOS)が組み込まれる。パワーは192ps/5000rpm、トルクは28.6kg-m/1250-4600rpmという値で、オーバーブースト機能を持つ。オーバーブースト時にはトルクは30.6kg-mにまで上昇する。また、このエンジンには、アイドリング・ストップとブレーキ回生エネルギー・システムが標準で装備される。

クーパーSに設定されるトランスミッションは8速ステップトロニック・オートマティックのみ。ギアシフトの要する時間を短縮したもので、ステアリング・ホイールに付けれたパドル・シフトでマニュアル・モードでの運転も可能というもの。また、ローンチ・コントロール・システムも装備される。

パフォーマンスは、0−100km/h加速が7.1秒、最高速度は228km/h、CO2排出量は147-144g/km、そしてJC08モードでの燃費は16.6km/ℓだ。

一方、クーパーに搭載されるのは、直列3気筒1498ccツインパワー・ターボで、4気筒ユニット同様にダイレクト・インジェクション、バルブトロニック式の可変バルブ制御、吸排気カムシャフト位相可変装置(ダブルVONOS)が組み込まれる。パワーは136ps/4400rpm、トルクは22.4kg-m/1250-4300rpmという値で、オーバーブースト時にはトルクは23.5kg-mにまで上昇する。また、このエンジンにも、アイドリング・ストップとブレーキ回生エネルギー・システムが標準で装備される。

トランスミッションはステップトロニック・オートマティックだが、こちらは6速となる。

パフォーマンスは、0−100km/h加速が9.1秒、最高速度は205km/h、CO2排出量は123-118g/km、そしてJC08モードでの燃費は17.1km/ℓだ。

なお両車共に、シフトレバー根本にあるロータリー・スイッチでドライビング・モードの切り替えが可能。標準設定のMIDモードの他、スポーツ・モード、グリーン・モードを選ぶことができる。スポーツ・モードは、スロットル・レスポンスとステアリング、スイッチング時間がダイナミックになるというもの。また、グリーン・モードでは効率的なエネルギーおよびエアコン管理性行などがされる。また、50km/hから160km/h走行時に惰性走行をした場合にエンジンをアイドル状態にして燃料消費量を向上させるセーリング・モードも組み込まれている。

関連テーマ

おすすめ記事


解説の人気画像