浅間ヒルクライム2017

「ランチア037ラリー」「シェルビー・カンナム」ホンダのコンセプトトラック「T880」 みんな目の前をホントに駆け抜けていきました。「浅間ヒルクライム」のレポートです。

text & photo: Yasuhiro Ohto(大音安弘)

 

山間にこだまするサウンド それが醍醐味

チェリーパークラインの麓から山頂までの約7kmの公道を閉鎖して行われるヒルクライム・イベント「浅間ヒルクライム2017」が2017年5月27日(土)〜5月28日(日)の2日間の日程で開催され、約2万1000人の来場者を迎えた。

快晴に恵まれた当日だが、メイン会場となるアサマ2000パークは、標高2000m付近の立地ということもあり、8時を過ぎてもまだ肌寒いほど。もしあなたが来年の観覧をお考えなら、一枚多く羽織るものを用意しておくといいだろう。ただ気温は低めでも、会場は既に多くのファンの熱気に包まれていた。

このイベントは公道を完全閉鎖して行うものだが、スピード競技ではなく、あくまでデモンストレーション走行だ。もちろんタイム計測が行われ、順位も発表されるが、これは安全な速度でコースを走り切るための設定時間から誤差が少なかったドライバーが上位となる仕組み。参加者と観覧者のどちらの安全にも配慮し、閉鎖した公道でクルマを走らせ、その姿を見て楽しんでもらうという趣旨なのだ。また公道閉鎖により、一般道を走ることができないレーシングカーの走行が可能なことも、大きな特徴となっている。

今年のヒルクライム走行は、土曜の午前と午後、日曜日の午前と計3回を実施。既に100台を優に超えるエントリーがあり、集まるクルマのバリエーションも年々豊かになっているのも魅力。国内外のスポーツカーやスーパーカーだけでなく懐かしの名車、そしてレーシングカーまでが登場するのだ。そうしたクルマたちが元気よく峠を駆けあがる姿を一度目にすると、気づかぬ間に自分までもリピーターとなってしまうのが十分納得できた。

浅間ヒルクライムの見方、歩き方

また静かな峠道なので、エンジンサウンドを満喫できるのも嬉しいところだ。観覧エリアは、メイン会場から歩いて行けるゴール付近の場所だけでなく、コース中にいくつかのポイントを用意。どの場所でも十分に観覧を楽しめるが、やはり一度はコース半ばに設けられた特設エリアでの観覧をお勧めしたい。ただコース内の移動は専用バスに限られており、発車時間や本数も限定されるので、現地では早めの行動が必要であることをアドバイスしたい。

数々のスーパーカーやスポーツカーの走行と音が楽しめたのも嬉しかったが、個人的に最も感激したのは東京オートサロン2017で話題となったホンダのコンセプトトラック、T880の登場だった。走行できる状態に仕上げたコンセプトカーとは聞いていたが、まさか実際に走る姿を、しかも浅間ヒルクライムで目撃できるとは驚きであった。

この内容で、ギャラリー入場は0円

初日となった土曜日には、恒例イベントとなった市内パレードを実施。メイン会場から小諸駅までをナンバー付きのエントリー車両がパレードを行った。今年は、同日に小諸市役所で自動車展示イベント「KOMORO CARnival」が実施されていたため、小諸市役所もルートに加えられた。地域の方々も毎年楽しみにされているようで、沿道には多くの観客が集まり、目の前を過ぎる様々なパレード参加車両に向かい手を振っていた。

メイン会場の散策もイベントの楽しみのひとつ。その中で話題をさらっていたのが、マルティニ・レーシング・ポルシェ936とロスマンズ・ポルシェ956の2台の展示だ。ポルシェミュージアムが収蔵する貴お重なレーシングカーで、6月に開催されるル・マン24を意識して、ポルシェ・ジャパンが、この2台を持ち込んだという。そんな伝説のレーシングカーを目の前に、ファンによるポルシェ談議も盛り上がりを見せていた。

浅間ヒルクライムは、公道で様々なクルマの走行シーンとサウンドが楽しめる貴重なイベントだ。近隣には自然も溢れ、観覧だけでなく観光を楽しむこともできる。これだけのイベントながら、観覧が無料であることも嬉しいところ。ぜひ家族や仲間、カップルなどで旅行を兼ねて観覧ツアーを組んでみるのも面白いだろう。
 

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