ロールス・ロイス・レイス

公開 : 2013.09.04 14:44  更新 : 2017.05.29 19:25

■どんなクルマ?

価格が£235,000(3,643万円)、全長が5.3mというクーペはこのロールス・ロイス・レイスの他に存在しない。このことからもレイスが特別なクルマであるということがわかる。ロールス・ロイス・ゴーストと同じサイズのクーペなど、他で探すことは不可能なのだ。

確かに同じテーマで造られたクルマとして、ベントレー・コンティネンタルGTがあるかもしれない。また、フェラーリFFも選択肢として考えられるかもしれない。しかし、4人を乗せた長旅に適しているクーペとなると、この2モデルはそれに該当しない。たしかに、レイスはこの2モデルよりもスポーティでないかも知れないが……。しかし、レイスは、これまで生産されたロールス・ロイスの中で、最もダイナミックなモデルではある。

全長5269mm、全幅1947mm、総重量2435kg。エンジンはBMW製の6.6ℓV12にツインターボを備え624bhpを発揮する。あなたが望むに充分なパワーを備えたクルマだ。従って、その気になればかなりのハイペースで飛ばすことは可能だが、一般的なオーナーはそんなことはしないだろう。

■どんな感じ?

今回試乗したモデルはプレ・プロダクション・モデルであり、実際のプロダクション・モデルとは若干の違いがあるかもしれない。しかし、この極く初期モデルのレイスのキャビンには何の問題もない。カーペットは分厚く深く、本革はファントム・グレードのものが使用されている。また、ウッドも本物の設えの良いものが使用されている。

コーチ・ドアは広く開く。ドライバーズ・シートを動かし、リア・シートに収まることは決していやな仕事ではない。このクルマは、フル4シーターなのだ。また、巨大なブート・スペースも嬉しい。

ゴーストがBMW 7シリーズをベースとしていることを知っている通り、このレイスも7シリーズをベースとする。ファントムのようにアルミニウム製のスペースフレームではなく、スティール・モノコック製だが、それが何か問題になるようなことはない。ファントムよりもBMWをソースとするキャビン・コンテンツがレイスでは目立つが、対価に見合うだけの高級さがある。ハードウェアにも問題はない。

そのドライブ・フィーリングはロールス・ロイスそのものかといえば、イエス、と答えられる。ドライビング・ポジションは高く、シートは充分なクッションを持ち大きなもの。高いドライビング・ポジションは、前方の視界を明快にするものの、ファントムとは異なり、その巨大なボンネットの先端を見ることはできない。このことが、レイスをドライビングする時に、若干の慎重を要する原因にはなる。

確かに何の疑いもなくこのレイスは速い。それもそのはずで0-96km/h加速は僅かに4.4秒なのだから。しかし、そのパフォーマンスよりも重要なのは、そのクオリティだ。65km/hでドライブした時の静かさは経験したことのないもの。確かにフル・スロットルを与えれば、若干のターボ・ラグを感じさせながらもレイスは恐ろしい加速を見せる。加速中、そしてブレーキング時には目立ったピッチがあるが、それを感じさせないというのであれば、それは不気味過ぎるクルマだ。しかし、総じてイージーでナチュナルなドライビングが可能だ。

ボディ・ムーブメントは想像通りよく抑えられている。確かにプアな路面では僅かな揺れがキャビンに侵入してくる。確かに、これがゴーストであれば問題視されるだろうが、レイスでは全く気にならなかった。事実、尊大な乗り心地にクオリティには、充分に満足できるものだった。支払っただけのコストに見合うだけのものをレイスは持ち合わせているのだ。

■「買い」か?

レイスにはナビゲーションと連動したギアボックスが採用されている。それは如何に楽にドライビングができるかという観点から採り入れられたシステムだ。ロールス・ロイスはその手のオプションを好むようだ。そして、レイスはそういった装備が好ましいクルマなのだ。静かで、控えめ(エクステリアは別として)なロールス・ロイスならではのフィーリングを愉しむべきクルマでもある。それが当然なのだ。

(マット・プライヤー)

ロールス・ロイス・レイス

価格 £235,000(3,643万円)
最高速度 250km/h
0-96km/h加速 4.4秒
燃費 7.2km/ℓ
CO2排出量 327g/km
乾燥重量 2435kg
エンジン V型12気筒6592ccツインターボ
最高出力 624bhp/5600rpm
最大トルク 81.6kg-m/1500-5000rpm
ギアボックス 8速オートマティック

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