【注目集まる小型商用EV市場】200万円台-と発表 変化するEV「エレモ」とは?

公開 : 2021.07.01 05:45  更新 : 2021.07.08 13:04

小型商用EVの木更津市への贈呈式がおこなわれました。異業種も続々参入する小型EV市場とエレモについて解説します。

小型EV「エレモ」 どんなクルマ?

text:Kenji Momota(桃田健史)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

こんな小型EVトラックがあったらいいな。

そんな声にこたえるような、多用途小型電気商用車「ELEMO(エレモ)」が日本で本格的に走り出すことになった。

エレモ贈呈式の様子
エレモ贈呈式の様子

エレモの企画、および販売を手掛ける、HWエレクトロ社が2021年6月24日、報道陣向けに開いた情報公開の場で明らかにした。

もともと、エレモはオーストリアのマグナ・シュタイア社のエンジニアが設定した商用車だ。

マグナ・シュタイアといえば、カナダのマグナインターナショナル傘下の大手自動車部品メーカーで、大手自動車メーカー向けに新型車の最終組立を請け負うことでも知られている。トヨタのGRスープラと、その実質的な兄弟車であるBMW Z4もマグナ・シュタイアのオーストラリア・グラーツ工場で全数が生産されている。

また、マグナ・シュタイアは近年、さまざまな種類の電動車のアイデアを公表しており、そのうちの1つがエレモの原型だ。

HWエレクトロ社によると、エレモの原型は当初、フランスの企業が量産化したが事業破綻し、その後アメリカ企業が事業を引継ぎ、HWエレクトロ社がサスペンションなど日本市場向けにさまざまな改良を施しエレモになった。

また、近い将来にはHWエレクトロ社が独自設計した多目的小型電気商用車を日本で販売する予定もあるという。

電動商用車 市場は拡大兆候

エレモを日本で発売するに至った背景について、やはり大きな要因はカーボンニュートラルである。

カーボンニュートラルとは、企業の工場、発電所、クルマ/バス/トラック/船/飛行機などのさまざまな分野や工程で排出される二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えて、森林など自然界で吸収するCO2量と相殺し、実質的にCO2排出量ゼロを目指すことだ。

佐川急便とASFが企画製造する小型EV
佐川急便とASFが企画製造する小型EV    ASF

日本では、国が2020年12月に「グリーン成長戦略」を公表し、「遅くとも2030年代半ばまでに日本市場で軽自動車を含めてクルマの電動化100%」という目標を定めた。

これを受けて2021年1月の通常国会の施政方針演説で菅義偉首相は「2035年までに」と具体的な目標年を示した。

こうした中、企業の中では自社事業で使用する商用車を積極的に電動化する動きが高まっている。

例えば、東京電力は2020年5月NTT、日立、そして全国電力大手各社などと「電動車活用推進コンソーシアム」を立ち上げており、東京電力関係者によれば「軽自動車を念頭に置いた新規EV開発で大手自動車メーカーなどと意見交換をしている」という。

運送事業者では、佐川急便は2021年4月、EVベンチャーのASFが中国での小型EV企画製造による協業を発表するなど、小型EV事業において動きが出てきた。

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