【EVのメリット高まる?】解決進むエネルギーミックス問題 英国の電力事情とは

公開 : 2021.08.05 06:05

英国では再生可能エネルギーによる発電量が増加し、EVの普及に伴う環境面でのメリットが高まりつつあります。

EVの普及と電力供給事情

text:Jim Holder(ジム・ホルダー)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

CO2排出量削減の一環として、クルマの電動化が世界各地で進められている。EVが急速に拡大する中、動力源となる電気をどのように生産するか、また電力は果たして足りるのかという問題が注目を集めている。

そんな中、英国の電力供給事情は改善されつつあり、EVを走らせるメリットが高まっている。

EVが増えても、発電を化石燃料に頼っていては元も子もない。
EVが増えても、発電を化石燃料に頼っていては元も子もない。

「電力は十分にあり、送電網は簡単に対応できます」

そう語るのは、ロンドンに拠点を置くエネルギー供給会社ナショナル・グリッドの脱炭素化担当ディレクターであるグレーム・クーパーだ。

英国の道路を走る3700万台のICE車をEVに置き換えようとしてもうまくいかない、という否定的な意見も多く聞かれるが、発電と供給の課題は解決されつつあるようだ。

クーパーによると、英国の電力需要は2002年にピークを迎え(6200万kW)、その後はソーラーパネルの設置などによる効率化で16%減少しているという。また、風力を中心とした再生可能エネルギーへの長年の投資により、将来的にはさらなる容量確保が見込まれる。

実際、クーパーの率いるチームは、仮に国民全員が明日からEVに乗り換えたとしても、送電網は十分に対応できると試算している。その場合の電力消費量は、現在の約10%増と計算されており、2002年の消費量よりも少ない。

しかし、エネルギーミックスはどうなるのか、という指摘もある。エネルギーミックスとは、石油、原子力、水力、太陽光などエネルギー資源のバランスを考慮した電源構成のことだ。

増える再エネの割合

現在、EVの製造にはICE車よりも多くのエネルギーを必要とするため、CO2排出量が「プラマイゼロ」になるまでには平均3万マイル(4万8000km)ほど走らなければならないと見られている。しかし、EVを走らせるための電気を化石燃料の発電所から供給しているとしたらどうだろう?大気汚染の解決にはつながらないはずだ。

このような事実もあるが、将来の見通しは明るく、状況は改善されてきている。英国政府が6月に発表した報告書「Energy Trends」によると、国内では再生可能エネルギーによる発電量が化石燃料による発電量を上回っているという。

欧州では環境規制の強化に伴い、電動化が加速している。
欧州では環境規制の強化に伴い、電動化が加速している。

洋上風力発電所への大規模な投資が開始されたことも大きい。英国ではこれまで石炭火力が主な電力源だったが、政府は2024年までに廃止を目指しており、現時点で完全稼働している石炭火力発電所は4基のみとなっている。

ピーク時の供給量は間に合うだろうか。もし、すべてのEVオーナーが一斉に充電を始めたら?大半のドライバーは、ピークの午後6時から8時に仕事を終えて帰宅するため、これは決して大げさな話ではない。

難しい問題だが、スマートチャージャー(帰宅時間を把握し、最も効率的な時間帯に電力を引き出せる)が活躍するだろう。この新技術と、EVから電力を集めて貯蔵し、それをグリッドに供給するという方法が普及すれば、大幅な効率化が期待できる。

英国のCO2排出量の約28%は、人や物の輸送によるものだ。自動車業界は急速な変化を迫られ、柔軟に対応を進めている。自動車だけでなく、他の業界も同様に変革していくのが望ましい。幸いなことに、(少なくとも英国では)変化をサポートするインフラがすでに整備されつつある。

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