【MGB GTで830kmを走る】スコットランド人気の観光ルート ノースコースト500 前編

公開 : 2021.09.11 07:45  更新 : 2021.09.13 07:39

海外への移動が制限された2021年。英国編集部は最高のドライブを楽しむために、北スコットランドのノースコースト500を目指しました。

総長830kmに及ぶドライビングルート

執筆:Ed Foster(エド・フォスター)
撮影:Luc Lacey(リュク・レーシー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
英国北部の北スコットランドは、おとぎ話や古城、スコッチウイスキーの蒸留所、風吹く浜辺にワインディングが楽しめる素晴らしい土地だ。鉄器時代の遺跡やピクト人の残した遺物が、原野に点在している。

白波を立てる北海と、丘陵地帯をうろつく羊の群れ。風に揺れる低木の中で、夏の景色を構成している。しかし近年は様相が変わった。道路は混んでいてホテルは満室。お土産を売る店も賑わっている。

MGB GT Mk2(1970年/英国仕様)
MGB GT Mk2(1970年/英国仕様)

2015年3月、チャールズ皇太子が率いるノースハイランド・イニシアチブ観光委員会が、観光道路のノースコースト(NC)500を発表した。南側の町、インヴァネスをスタート地点に、英国北端を周遊する総長516マイル、830kmに及ぶドライビングルートだ。

人里離れた風光明媚な地域へ、観光客を増やす目的で制定されたもの。今では、大成功といえる結果を生んでいる。

北スコットランドには、300年ほど過去へさかのぼる薄暗い歴史がある。スコットランド王国としてスチュアート朝時代までは独立した国家だったが、1707年に合邦しグレートブリテン王国となった。

しかし1746年、カンバーランド公爵が率いる政府軍が、インヴァネスの近郊でステュアート朝への復帰を目指す対立勢力のジャコバイトと衝突。5000名を擁するジャコバイトだったが、1500名が命を失った。

スコットランドとイングランドの対立というわけではなかったが、ハイランド地方の生活文化を衰退させることにつながった。戦闘後、政府はタータンチェックとバグパイプを一時禁止してしまう。

旅のお供は1970年式のMGB GT

さらに牧羊を推進する目的で、ハイランド地方の住民は退去を強いられた。大規模農業が優先され、高い税率が課せられ、古くからの農民の多くが排除された。例えば1745年、北西部のスカイ島の人口は4万人あったというが、現在はその25%にも満たない。

政府の圧力が加わったスコットランドだが、結果としてはNC500の原型が誕生する。放棄された農地と、彼方まで続く広大な原野。静かな北スコットランドに響く人口的な音は、クルマが放つエグゾーストノートくらいだ。

MGB GT Mk2(1970年/英国仕様)
MGB GT Mk2(1970年/英国仕様)

今回、NC500を走る筆者のお供は、1970年式のMGB GT。1967年から1974年に製造されたMk2のGTで、製造台数は37万5147台もあった。クロームメッキのバンパーがトレードマークだ。

クルマを提供してくれたのは、ディングウォールの町でノースコースト・クラシックス社を営むグラハム・ワトソン。感謝したい。

NC500を、筆者のようにクラシックカーで走りたいと考える読者もいるだろう。念のため、いくつかのアドバイスをさせて欲しい。

まず車高が低いと、1車線の道では珍しくない大きい起伏でお腹をこする可能性がある。また南部のエディンバラを超えて、パースからインヴァネスへ向かうには、山岳部を縫うA9号線を走る必要がある。

あちこちに速度取り締まりカメラが立ち、沢山のトラックやキャンピングカーが待ち構えている。A9号線は、スコットランドで1番走りたくない道路としても有名だ。

小さなMGBでA9号線を数時間かけて走った。これ以外で、どんなクルマが適しているのか考えながら運転したが、最後まで思い浮かばなかった。

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