ヒストリックカーミーティング in 松本

2014.05.05-06

text & photo:Tetsu Tokunaga (徳永徹)

 
一年の間には贅沢な料理にありつけたり、人との出会いや絶景ドライブを楽しんだりと嬉しい思い出がいくつかあるものだ。そうした一年分の楽しみを2日間に詰め込み、クラシックカー・ラリーをしながら巡って行こうというのがヒストリックカー・ミーティングの目指すところだ。

今回の集合はゴールデンウィークに賑わう松本のヒマラヤスギ並木。ずらりと並んだこだわりのクルマにぶつけないようわたしがオタオタ取り回しをしていると、事務局の方が誘導を申し出てくれ、枠に無事おさまるとニカッと笑顔で合図してくれた。その瞬間からどうにもわたしの時間軸がおかしくなった。

ラリーがスタートすると、次から次からうれしいことが舞い込んでくるのである。信州の名産品に彩られたお食事を日本屋敷で味わい、城下町のレトロな景観をクラシックカーで走り抜ける。そこからはスタンプポイントを過ぎる度、PC競技をこなす度に、銘菓がふるまわれたり特産品のアスパラを頂いたり、唐沢そば集落ではわんこそばまで堪能。この日いったい何食食べたか思い出せないほど。

走りのプログラムも抜かりはなく、美鈴湖までのワインディングはレーシングサウンドを轟かすもの、空冷ユニットを目いっぱいまわすものと各々の走り方で駆け上がるので集まったギャラリーも大喜び。1日の行程を終えたあとも勢いは留らず、しめやかに始まった晩餐会は次第に調子を上げ、同イベント恒例のサンバ練り歩きに突入。56組の参加者が自然に手をつなぎ合うほどの盛り上がりを見せた。

翌2日は五月晴れの北アルプスを駆け巡るコース。この日も信州おやきや自家製ハチミツを頂きながら多様なレベルのPC競技をこなしていく。ゴールの穂高ビューホテルでは、まだ散っていない桜がわれわれを出迎えてくれるサプライズもあった。

今こうして写真を見返していても、本当に2日間の出来事だったのか、一年分のイベント写真を集めて見返しているのかあやふやになるほど濃密な時間を過ごした。ストップウォッチ片手に目くじら立てるばかりがクラシックカー・ラリーではないという事務局の意図は明確で、女性からの指示が圧倒的に多いというのも納得なのである。

  • 9回目となった同ミーティグは、あえてGW中に開催。ユニオンジャックのEタイプがギャラリーを出迎えた。

  • 連休中とあってメイン会場あがたの森には大勢の人が集まった。ヒマヤラスギ並木と色とりどりの356。

  • 新旧ポルシェが並ぶと足を止めカメラを構えてしまう。カメラ好きにも絶好のロケーションだった。

  • ライト周りを覗いたり、地面すれすれからカウルの造形を確認する人が多かったアルピーヌA110 Gr.4。

  • 乾いたエグゾーストとキャブレターの吸気音が大迫力のカムシン。濃厚なカラーほど美しさが際立つ。

  • 涼しげなシルバーグリーンと深みのあるインテリアカラーが印象的なジャガー XK140 ロードスター。

  • コルベットのオーナーは、アイドリングは1100rpmが一番具合がいいと、手慣れた様子で調整していた。

  • 出発前にして、信州牛ステーキ丼、地馬肉のたたき、信州プラチナサーモンなど贅沢な料理が振る舞われた。

  • ドライバーズミーティング。今回のテーマは信州食い倒れツアーと明かされる。すでにお腹いっぱいです。

  • スタートを切る54年式ジャガーXK120は、今大会のタイムキーパー賞を受賞した数少ない1台である。

  • 名車に囲まれてなお存在感を放つカウンタック・アニバーサリー。この車格にしてクラス優勝を手にした。

  • 唐沢そば集落に到着。唐沢川の清流が生んだそばは逸品。旅行誌の記者でも知っている人は少ない。

  • EタイプSr.2 ロードスター。複雑なコースレイアウトをものともせず2.0ℓ以上のクラス優勝に輝いた。

  • なかなか目にする機会のないテスタロッサの熱い走り。ギャラリーのお子さん達もおもわず口をあんぐり。

  • 今回お世話になった松本丸の内ホテル。お食事会場は1937年建築の登録有形文化財、旧第一勧業銀行。

  • しめやかに始まった晩餐会。バンドの演奏と、シャンパングラスの合わさる音が雰囲気を引き立てていた。

  • 歴史の重みを感じる佇まい。階上からドレスをまとったエントラントが降りてくる姿は優雅そのもの。

  • 涼しげなボサノヴァの調べは、煌びやかなサンバダンサーの登場とともにやがて調子を上げて行く。

  • サンバパーティへ会場は様変わり。ヒストリックカー・ミーティング in 松本の夜はこうして更けて行く。

  • 2日目はアルプスを望むルート設定。トライアンフTR4を追いかけるのは、フェアレディSR311。

  • 上下の塗り分けられたエランと言えばスプリント。車重の軽さを活かして一気に駆け上がってきた。

  • 2000GT。これだけ長いノーズで正確なタイムを刻むのは至難の業。しかし総合優勝に輝いたのは…。

  • 真っ赤なモーガン・プラス8。写真はオープン状態だが、このクルマはフードをかぶっても魅力を失わない。

  • 緩やかに見えるこう配でもタイム計測には影響する。難しいセクションを走り抜ける2000ベルリーナ。

  • フロントガラスを倒しいっそうスタイリングの魅力を増した56年式のオースチン・ヒーレー100-4 BN2。

  • ゴールまであと一息。気温が上がるとともにオープントップにする車両が増え、ギャラリーを喜ばせた。

  • 旅の終わりとなる穂高ビューホテルに面した通りは、桜が残っていた。昼食時はこの話で持ち切り。

  • コンテッサ1300クーペも桜に迎えられゴールを目指す。年月を経ても美しさが色褪せない貴婦人。

  • ゴールするフィアット1100TV。1600cc以下のクラスで2位と大健闘。後ヒンジのドアが心憎い。

  • 1600cc以下で好成績をマークしたホンダS500。ブラックのボディにチェッカーフラッグが映り込む。

  • 1600cc以下で入賞したMGミジェットMkII。ドライバーの視線が常に先を捉えていたのが印象的。

  • マルーンのカラーリングがエントラントの間で好評だった65年式のトライアンフ TR4Aもゴール。

  • こちらのローバー3500もボディとフードが珍しいカラーリングでギャラリーの熱い視線を浴びていた。

  • トロフィーの数だけでなく、賞品も豊富な同ミーティング。帰りはお土産満載のクルマが目立った。

  • 2日間続いたラリーも表彰式へ。総合優勝はトヨタ2000GTのご夫婦。2位に大差をつけての栄冠だ。

  • 入賞を逃しても、ただでは帰さない同ミーティング。イベントの最後はじゃんけん大会で盛り上がる。

記事に関わった人々

  • 徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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