欧州カー・オブ・ザ・イヤー歴代受賞車 一挙紹介 前編 無名の迷車・珍車も数多し

公開 : 2022.03.19 06:05  更新 : 2022.03.19 07:05

欧州で最も高く評価されたクルマとは。欧州カー・オブ・ザ・イヤーを勝ち取った全59台を一挙に紹介します。

約60年の歴史 全受賞車を振り返る

毎年開催される欧州カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)は、自動車業界最大級の世界的な賞と言っても過言ではない。

毎年、前年に発売されたすべてのクルマが審査され、最終的に7台の候補車に絞られる。弊誌AUTOCAR英国編集部のほか、Auto(イタリア)、Autopista(スペイン)、Autovisie(オランダ)、L’Automobile Magazine(フランス)、Stern(ドイツ)、Vi Bilagare(スウェーデン)など、欧州各国の自動車専門誌が主催している。

AUTOCARの英国編集部も欧州COTYの主催・審査に参加している。
AUTOCARの英国編集部も欧州COTYの主催・審査に参加している。

2022年の受賞車は、キアEV6に選ばれた。キアにとって初の受賞であるが、これまでに名を連ねる偉大なクルマの仲間入りをするのだろうか?それとも、一瞬の輝きを放った後、無名の存在となるのだろうか?

欧州COTYの過去の受賞車と、その成り行きを見てみよう。

1964年:ローバー2000

レイランドとなる以前のローバー最後の新型車。しなやかな乗り心地と魅力的なハンドリングを両立させたサスペンション、コンパクトで広々としたデザインが評価され、最初の欧州COTYを受賞した。

標準装備の2.0L 4気筒ガソリンエンジンは最高出力105ps程度で、パワー不足を指摘されていたが、1968年にはビュイック社製の3.5L V8を導入し、160psを発揮して0-97km/h加速を10秒5で達成する、当時としては驚異的な性能を持つセダンに仕上がっている。

1964年:ローバー2000
1964年:ローバー2000

14年間で32万台が生産された2000は、1976年にローバーSD1(詳しくは後述)に置き換えられた。

1965年:オースチン1800

1800は、広い室内、大きなトランクルーム、実用性、前輪駆動(FF)方式の組み合わせが審査員に評価された。その不格好なエクステリアデザインから「陸蟹」というニックネームがついたが、発売当初は英国のメディアから絶賛された。

年間20万台の販売を見込んでいた1800は、エンジン関連の信頼性問題や厳しい競争により、4万台を売るのがやっとだった。最終モデルであるMk3は1972年に登場し、1975年にはオースチン・プリンセスにバトンタッチした。

1965年:オースチン1800
1965年:オースチン1800

1966年:ルノー16

ルノー・フリゲートの後継モデルとして登場した16は、15年間で200万台近くが生産され、販売面でも大成功を収めた。快適で広々とした室内空間が評価され、ハッチバックデザインを中流階級に、ひいては大衆に広めた革新的なクルマである。

レース界の伝説的な人物スターリング・モスが「最もインテリジェントにデザインされた自動車」と評した16は、今もなお語り継がれている名車だ。

1966年:ルノー16
1966年:ルノー16

欧州で成功を収めた後(米国ではそうでもなかったが)、1975年に大型のルノー20/30が後継として登場する。残念なことに、16は当時大衆車として使用されていたため、現在ではごくわずかしか残っておらず、そのほとんどがフランスにある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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